環境庁ニュース

土壌・地下水関連施策

平成10年
3月12日 平成8年度土壌汚染事例及び対応状況に関する調査結果の概要を公表(参考1)
4月10日 大気汚染防止施行規則の一部を改正する総理府令の公布(ばいじん規制強化)
5月26日 第1回「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」開催(参考2)
6月30日 「事業場内の地下水汚染に関する対応について」(室長通知)を施行(参考3)
7月10日 第2回「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」開催(参考2)
7月16日 「土壌の汚染に係る環境基準の運用等について」(課長通知)を施行(参考4)
8月 3日 ダイオキシン類緊急全国一斉調査の開始(参考5)
8月26日 環境庁平成11年度予算(概算要求)の概要公表(参考6)


(参考1)平成8年度土壌汚染事例及び対応状況に関する調査結果(概要)
都道府県及び水質汚濁防止法政令市を対象に,土壌汚染事例及び対応状況について平成8年度末現在で行ったアンケート調査の結果を公表した。

(1)昭和50年度〜平成8年度末までの間に都道府県等が把握した土壌汚染事例の総数は782件で,このうち土壌中から何らかの重金属等が検出された事例は375件,さらにこのうち環境基準に適合しないことが判明した事例は102件であった。
(2)行政による地下水・表流水や土壌の調査を契機として判明する事例が多い。また,土壌汚染とともに見られた他の影響としては地下水・伏流水汚染が多い。
(3)土壌汚染に関する条例,要綱,指導指針等を制定している地方公共団体数は41となった。
(4)地方公共団体から国への要望としては,低コストで簡便な調査・対策技術の開発や参考となる事例等の情報提供に係るものが多い。

(参考2)「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」の開催
ダイオキシン類が環境に及ぼす影響についての社会の関心が高まっているが,土壌中のダイオキシン類については我が国における調査事例が少なく,汚染の実態や土壌中のダイオキシン類が人の健康に及ぼす影響などが十分に把握されていない状況にあることから,土壌中のダイオキシン類が環境に及ぼす影響の評価手法について検討を行うとともに,実態調査結果の解析,リスクの低減手法等について検討を行うこととした。
平成10年度中に6回程度開催し,平成11年3月に初年度の取りまとめを行う予定。

(1)第1回検討会の概要
議事内容等に関する公開の取り扱い,今年度環境庁が実施する全国土壌モニタリング調査の進め方,本検討会における検討課題等について検討を行った。
(2)第2回検討会の概要
前回の議事録の確認,検討会委員のダイオキシン類に係る研究成果,本検討会における検討課題(第1回に引き続き)等について検討を行った。

(参考3)事業場内の地下水汚染に関する対応に係る地下水・地盤環境室長通知(概要)
昨今の電気・電子事業場内の有機塩素系化合物による地下水汚染の報告の状況に鑑み,通商産業省に対し,有機塩素系化合物を過去に大量に使用したと思われる事業場について,調査の実施及び汚染が認められた場合に適正な対処が行われるよう,電気・電子業界への指導を要請した。また,都道府県及び水質汚濁防止法の政令市に対し,事業者から調査結果等について報告があった場合に適切な指導助言を行うよう通知した。

(参考4)土壌の汚染に係る環境基準の運用等に関する土壌農薬課長通知(概要)
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の一部改正に伴い,「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令の一部を改正する命令」(平成10年総理府・厚生省令第2号)により最終処分場の廃止の基準が設定され,本年6月17日から施行されることとなったことを踏まえ,廃止後の最終処分場の跡地への土壌環境基準の適用について,都道府県及び政令指定都市の土壌環境保全担当部局長あて通知した。主な内容は以下のとおり。

(1)廃止後の最終処分場等の跡地であっても,引き続き一般環境から区別されているものについては,土壌環境基準は適用されないが,掘削等による遮水工の破損や埋立てされた廃棄物の撹乱等により一般環境から区別する機能を損なうような利用が行われる場合には当該跡地に係る土壌に土壌環境基準が適用される。
(2)廃止後の最終処分場等に関する情報は,土壌環境基準の維持達成のための対策を講じるに当たって不可欠のものであるため,土壌環境保全担当部局において,埋立処分が終了した最終処分場に係る届出台帳等を活用することにより,土壌汚染に係る既往情報の把握・整理をお願いする。

(参考5)ダイオキシン類緊急全国一斉調査(概要)
近年,廃棄物焼却施設等から排出されるダイオキシン類による環境汚染が大きな問題となっており,今後のダイオキシン対策の検討に資する汚染実態の詳細な把握が急務となっていることから,大気,降下ばいじん,公共用水城水質,地下水質,公共用水域底質,土壌及び水生生物の各媒体について,全国を統一的な方法で調査することとした。

○調査は以下の全国モニタリング及び重点モニタリングの合計387地点において実施する。

(1)全国モニタリング

59都道府県・政令指定都市について,それぞれ3地域(発生源周辺地域,大都市地域及び中小都市地域)(354地点)及びバックグラウンドとして全国7地域で,ダイオキシン類及びコブラナーPCB(一部地域)を測定する。

(2)重点モニタリング

全国モニタリングにおいて調査を行う発生源周辺地域のうち20カ所について,調査地点数を多く配置してダイオキシン類及びコブラナ-PCB(一部地域)を測定する。

(参考6)環境庁平成11年度予算(概算要求)の概要(土壌・地下水関係)
○ダイオキシン類汚染土壌浄化技術等緊急実証調査  (平成11年度概算要求金額500百万円)

ダイオキシン類による土壌汚染対策手法の確立が急務となっていることから,(1)ダイオキシン類汚染土壌の種々の浄化技術を実証するとともに,(2)多様な対策手法(覆土,植栽,分解処理等)による環境リスク低減効果や周辺環境への影響を検証することにより,対策技術の総合的体系を構築し,ダイオキシン類による土壌汚染対策を推進する。

○硝酸性窒素総合対策推進事業         (平成11年度概算要求金額 69百万円)

硝酸性窒素は,特に地下水において指針値超過率が高いことから,(1)2汚染地域において,窒素負荷量実態調査を実施し,関係機関等からなる連絡調整会議で窒素負荷低減総合対策計画を策定を行い,(2)面的汚染源による広範囲な硝酸性窒素の地下水汚染の簡易・経済的な浄化システムを確立し,その普及を図り,硝酸性窒素汚染対策の推進する。

○環境浄化機材等の貸出事業         (平成11年度概算要求金額1血百万円)

中小企業者等が環境改善事業や環境測定等を行う場合,それに必要な機材の使用期間が耐用年数に比して短いため,投資に踏み切れず必要な環境改善等が進まないことがあることから,環境事業団がこのような機材を購入し,中小企業者等に対しリースを行う。



(注)環境庁関連の報道発表資料,土壌中のダイオキシン類に関する検討会資料等については,環境庁ホームページ(http://www.eic.or.ip/eanet/)でも公表しています。ぜひご覧ください。