総会報告及び平成10年度事業計画 平成10年度総会議決内容

土壌環境センターの平成10年度第1回総会が,去る6月10日(水)16時から東京都港区の三田NNホールで開催された。当日は環境庁渡辺水質保全局長の出席を含め,会員総数86社の内80社(内,委任状出席12社)が出席した。 総会は岡安会長の開会挨拶で始まり,議長として高部副会長を選出した後,環境庁渡辺局長の挨拶を中に挟み,下記3議案につき活発な審議が行われた。

第1号議案:平成9年度事業報告及び決算報告に関する件
第2号議案:平成10年度事業報告及び収支予算に関する件
第3号議案:組織規程改正に関する件

第1号議案については兄玉専務理事による「平成9年度事業」説明,阿部事務局長による「平成9年度決算」説明,安達監事による決算監査の報告があり,質疑応答に移った。質疑の結果,第1号議案は原案通り承認された。 第2号議案については兄玉専務理事の原案説明の後質疑に入り,収支予算の一部を修正することで,議案は承認された。 第3号議案については兄玉専務理事の原案説明の後,原案通り承認された。


平成10年度事業計画

総会において採択された平成10年度事業計画の詳細は次の通りである。
本年度の事業計画は,「平成9年度に実施した諸活動の内容をふまえ,かつ土壌・地下水環境保全を取り巻く国際化,情報システム化の流れを先取りして,土壌・地下水環境保全対策の推進に資する」ことを骨子とし,そのために,以下の事業を推進することとしている。

1.自主事業

(1)技術関連事業
  1.資格制度導入を前提とした教育内容の調査,研究資格条件の設定を行い資格制度に関するシナリオを策定する。
  2.土壌・地下水汚染対策の技術にかかわる調査・研究
   a.油汚染について
   b.基準外物質汚染について
(2)情報収集等事業
  1.国際情報交流第3回海外視察調査等
  2.データーベース・ネットワークの構築策定
  3.第2回国際土壌・地下水環境ワークショップの実施
  4.土壌環境市場性調査
土壌・地下水汚染調査と対策の日本における事業規模,その構成内容,その経時的推移を把握する。
(3)調査手法等の標準化推進事業
市街地土壌・地下水汚染対策に関して,環境庁で指針改訂作業を進めている。これをべ一スにセンター会員企業が実務を行う上で基準となりうる,より具体的,実践的なセンター基準(GEPC-S:Geo-EnのronmenCUHotecoon CenterStauodmd)を作成する。その内容には汚染調査,対策の計画・設計,施工・施工管理,浄化終了判定,モニタリングなどを含むものとする。
(4)講習会・広報等事業
  1.機関紙「土壌環境ニュース」の発行
  2.技術講習会,講演会の実施
  3.第6回「地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会」の事務局担当

2.委託,請負事業
(1)土壌環境整備推進事業(環境庁) 自治体へのアンケートの解析業務と委員会の設置
(2)土壌環境リスク管理手法調査・土壌汚染新技術評価及びダイオキシン類土壌対策調査(環境庁)
  1.指針の改定案の策定(重金属・有機塩素系のとりまとめ),委員会の設置
  2.新技術調査の評価,委員会の設置
  3.未規制物質(ダイオキシン類)の対策技術の文献等情報収集
(3)地下水浄化汎用装置の開発・普及調査(環境庁)
(4)土壌汚染地域回復モデル事業に係わる浄化業務(兵庫県)

3.補助金等事業
(1)郵政省の助成金によるネットワーク・システム整備
(2)環境事業団の助成金による第2回国際土壌・地下水環境ワークショップ開催

【付記】
土壌・地下水汚染は深刻な社会問題となっているが,性格上その実体の把握はなかなか難しいところがある。そのような中で,日本工業新聞は平成10年6月22日付けの「地球の環境」特集記事の中で,住友海上リスク総研による汚染の実体調査の結果について報じている。同記事によれば,「日本国内で汚染診断が望まれるサイト数は442,758ヶ所にのぼる」と試算されている。これら土壌・地下水汚染にかかわる診断と浄化のための費用は膨大な額にのぼり,診断・対策の市場性は極めて高いものと予測される。

土壌・地下水汚染問題は当センターの会員企業の業務に直結するものである。前記の数値の精度については異論もあるかもしれないが,汚染が広い範囲に及んでおり緊急の対応に迫られている社会問題であることについては論を待たない。このような状況を踏まえ,当センターでは,「土壌環境市場性調査」を本年度の事業計画の最優先テーマとして捉え,「1.自主事業」の「(2)情報収集等事業」の中で取り上げることとした。

また,「1.自主事業」の「(3)調査手法等の標準化推進事業」についても,当センターの重点事業として,本年度は1,000万円程度の予算を計上し,市街地土壌・地下水汚染対策に関し,センターとして調査から施工・モニタリングに至る実践的な自主基準を作成することとしている。