土壌・地下水汚染の措置・対策では掘削除去及び区域外処理が多いという実態は明確であるが、適用技術及びそのトレンドに関する情報は必ずしも十分ではない。
本部会では、適用技術の動向等の把握により、汚染サイトに相応しい措置の適用が促進されること、個々の技術の適用状況を参考として研究・開発及び普及展開を促進すること等を目的として、
会員企業が実施した措置・対策における適用技術等に関して毎年継続的にアンケート調査を実施することとした。
平成23年9月に第1回目のアンケートを行い、現在集計結果をとりまとめているところである。ここでは、速報として、アンケート調査の概要とその結果の一部を紹介する。
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1. アンケート調査の概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アンケートでは、会員企業が平成22年度に元請けとして受注した措置・対策工事で採用された措置・対策技術の種類を、できるだけ多くの事例について回答してもらうよう協力を依頼した。
回答の作成は、措置・対策が実施されたサイトとし、同一の敷地内の離れた二つの場所で種類の異なる措置・対策を実施した場合は二つのサイトとして取り扱い、
一方同じ場所で複数の異なる種類の措置・対策を実施した場合は一つのサイトとして取り扱うものとした。 今回のアンケートでは、調査票を会員企業137社に配布し、68社(措置・対策の経験なしと回答した13社を含む。)の回答を得た(回収率49.6%)。 調査票が回収された数は504サイト分であった。 なお、会員企業から返信された調査票に基づく集計作業では、守秘義務契約を結んだ集計会社が実態把握調査部会の指定した方法にしたがって単純に処理を行っており、 原データには一切の手は加えられていない。 アンケート項目は、各サイトの@対策の契機(法・条例要綱等、自主調査)、A対象となった汚染物質(特定有害物質、油分、ダイオキシン類)、B選択された措置・対策技術、 C措置・対策技術の選択理由(土壌溶出量基準/土壌含有量基準不適合、油臭・油膜等)、D土壌汚染の除去の種類、E掘削除去後の処理、F原位置浄化工法の種類であり、 それぞれ選択肢の中から該当するものを選択する形式とした。 |
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2. アンケート調査結果(速報) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
回答があった504サイトについて、土壌溶出量基準不適合、土壌含有量基準不適合のそれぞれに対する措置・対策技術の採用状況は図1に示すとおりであった(複数回答あり)。 土壌溶出量基準超過(延べ452サイト)の場合は、「土壌汚染の除去」(321サイト、71%)に続いて「地下水汚染の拡大の防止」(60サイト、13%)や「地下水の水質の測定」(54サイト、12%)が多く、 土壌含有量基準不適合(延べ191サイト)の場合は「土壌汚染の除去」が180サイト(94%)と大部分を占めていた。 土壌汚染の除去が行われた402サイトについて、表1に示すように、掘削除去が333サイト、原位置浄化が111サイトであり、採用サイト数比率は3:1であった。 掘削除去の場合は区域外処理が多く、セメント製造施設や浄化等処理施設にて処理をしているケースが多いこと、原位置浄化の場合は化学処理工法、 生物処理法及び抽出工法の三つでほとんどを占めておりそれぞれ36〜49サイトで実施されていることがわかる。 図1 土壌溶出量基準不適合及び土壌含有量基準不適合に対して選択された措置・対策技術
表1 土壌汚染の除去で選択された措置・対策技術(注:複数回答あり) |
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3. 今後の展望 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今回は速報としてアンケート調査結果の一部を紹介した。
今後、より詳細に調査結果を解析した上で、報告書としてとりまとめ、その結果をホームページ等で公表する予定である。
ご多忙のところアンケートに回答戴いた会員企業各社に心より感謝申し上げるとともに、次年度以降のアンケートへのご協力を賜りたい。
(技術委員会 実態把握調査部会) |