新 年 挨 拶
大野 眞里
(社)土壌環境センター
会長
大野 眞里

  新年を迎え、謹んで新春のお慶びを申し上げます。年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。
  新しい年を迎えたとはいえ、世界経済は依然として混迷したままであり、また、我が国経済もデフレから脱却しておらず、明るい希望をもって新年をお祝いする心境にはなかなかなれないのは非常に残念なことです。現在の円高も、日銀による金融緩和が不十分であることの結果であり、ともかく我が国政府に賢明なマクロ経済政策を切に望むところであります。デフレを脱却しない限り積極的な民間設備投資が起きず、それが、結果的に土壌汚染対策に大きな影響を与えていることは明らかです。経済回復なくして土壌汚染対策の進展もないことから、今年こそ、その回復が感じられるようになることを祈りたいと思います。
  ところで、昨年4月に改正土壌汚染対策法が施行されておりますが、それに対する関係者から聞いた反応で四つほど気になることがあります。一つ目はマニフェスト、二つ目は自然汚染、三つ目は新たな資格制度と土壌環境監理士の関係、四つ目は不動産鑑定です。
  マニフェストについては、当センターが自主的に基金への寄付金付きの紙マニフェストを運営しておりましたが、マニフェストの法的な義務付けによりその役割が終了しました。しかし、費用のかからない簡便な電子マニフェストなどをセンター会員の協力により立ち上げることが望まれるのではないかとの意見です。
  自然汚染については、私も詳らかではないのですが、東京都内の低地での大規模な地下工事の場合には自然汚染は普通にあることだそうです。改正土壌汚染対策法では、掘削土が自然汚染土であっても場外に搬送する場合には法の内側での処理が必要になります。そのため産業廃棄物処分場と同等のレベルの施設が必要になるのではないかと聞いていますが、もう少し知恵が出せないかという意見です。
  また、法に基づく土壌汚染対策に係る技術者の国家試験制度により土壌環境監理士に大きな影響が生じるとの意見、さらに、封じ込めた土地の不動産鑑定が、どのような扱いになるのか良く分からないとの意見も聞いております。
  それぞれが的を得た意見だと思いますが、法の規制の枠組みを前提とした上で、官民連携で知恵を出し合い現実的な落とし所を見つけることが出来ないのか、考えないわけにはいきません。
  一方昨年、当センターとしては、改正土壌汚染対策法の施行に関する関係者の理解を促進するため精力的にセミナー等を開催してまいりました。適切な土壌汚染対策の実施には、国民、事業者、また、土地取引関係者の十分な理解が不可欠ですので、当センターとしては、本年も関係者の皆様のより一層の理解を得ることに重点をおいて活動を展開していきたいと考えております。
  役員一同、土壌・地下水汚染対策に関する活動の一層の推進と土壌環境センターの発展のため、決意を新たにして取り組む所存でございます。会員の皆様には、従来にも増してご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。