会 長 挨 拶
大野 眞里
(社)土壌環境センター
会長
大野 眞里

  先ず、平成22年度通常総会が、会員皆様のご協力を持ちまして無事、終了したことについてお礼申し上げます。
  さて、2008年9月のリーマンショック以降の世界経済の混乱による我が国の景気への悪影響が依然として続いており、我が国の民間設備投資、建設投資の分野も低迷したままです。そのこともあり、土壌汚染対策の実績が以前に比べると減少しております。やはり土壌汚染対策は、景気の影響を受ける分野であるとの印象を持っております。
  EUを除く世界の景気には明るさが見えて来ているようで、我が国にも少し薄日が差しつつありますが、震源地の米国に比べればなかなか出口が見えてこない状況かと思います。何故、日本のコアCPIが依然としてデフレ状況が続いているのか、あちらと我が国との違いはどこからくるかを考えると、明確な違いは、あちらでは財政政策と金融政策を連携して動かしているのに対して、こちらの日銀は、もう金融政策を発動する余地はないなどと、完全に政府に対して背を向け、財政政策と金融政策と連動していないところです。日銀は、さきごろ成長分野に対する新貸出制度という奇策の政策金融を行うことでデフレ対策としての金融政策への圧力を避けようとしています。
  現政権には、成長戦略を作成するのは良いが、金融政策と財政政策を連動させた適切なマクロ経済政策の発動を強く望むところです。とりわけ金融政策を政府のデフレ対策に対応させるようにすべきであると考えます。やはり、経済成長なくして望ましい環境の改善・創造への投資も生まれないので、菅総理の英断で一刻も早く金融政策によるデフレ対策の発動を望みたいと思います。
  さて、昨年4月に改正された土対法が、本年4月1日に施行されました。この改正のポイントは、汚染土を浄化・除去する対策だけでなく、適切な管理の下で汚染土と共存することであると思っています。この改正で、土壌汚染対策の費用のため思いとどまっていた土地の開発も可能になったのではないかと思われます。また、法改正に伴い、国土交通省の方でもこれまでの不動産鑑定基準を見直すとも聞いております。これらにより、適切な土壌汚染対策が進む環境が整えられたと考えております。
  また、当センターも改正法の施行の準備のため国に対してささやかながら協力をさせて頂きました。これらの活動については会員の皆様の支えがあったからこそ可能となったものです。改めてご協力頂いた会員の皆様に対してお礼申しあげます。
  また、当センターとしては、土壌汚染地を抱える土地所有者のニーズに適切に応えられるように、会員の皆様と一緒に努力していく所存ですので、皆様におかれましては、これまでにも増して当センターに対するご鞭撻、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。