自治体の具体的な取り組み
野田 珠生
愛知県環境部
水地盤環境課規制・土壌グループ
野田 珠生
  愛知県においては、平成15年10月に「県民の生活環境の保全等に関する条例」(「条例」)を施行し対策を進めてきましたが、条例施行後6年が経過し、新たな課題に対応するため及び改正された土壌汚染対策法(「法」)との整合を図るため本年3月に条例を改正しました。改正の概要については次のとおりです。

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これまで特定有害物質等取扱事業者に対し、努力義務を課していた土壌・地下水調査について、水質汚濁防止法の特定施設を設置する事業場(法対象を除く)、ガソリンスタンド等業種を限定し事業所の廃止時に調査を義務づけました。

改正法に新たに規定された3,000m2以上の土地の形質変更時の届出に併せ、改正前の条例で規定していた地歴調査及び土壌汚染のおそれがある場合の土壌調査の実施を求める規定を残すこととしました。

汚染が判明した土地について、応急措置及び拡散防止措置を求めます。これらの措置は法の形質変更時要届出区域についても適用します。(措置については汚染の程度等に応じたものとするよう指針を定めます。)

汚染土壌の処理を行うことによる周辺への影響を事前に把握し、適切に回避・低減させるため、汚染土壌処理業の許可申請に先立ち生活環境影響調査を義務づけました。事業者は生活環境影響調査の結果を勘案して事業計画を作成するものとします。

自主調査を条例に位置付け、条例に基づく調査方法に従い行った結果、汚染が判明した場合に県知事への報告に努める規定を設けるとともに、措置等について知事が助言できることとしました。

  以上、本県としては、今回の法改正に伴う対応を円滑に進めるとともに、条例の土壌汚染の未然予防、地下水保全の観点を踏まえ改正条例に基づく指導を一層推進していきたいと考えております。




山本 達也
大阪府
環境保全課
山本 達也

  大阪府の土壌環境行政の推進につきまして、日頃よりご指導ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
  さて、大阪府ではこれまで「土壌汚染対策法」及び「大阪府生活環境の保全等に関する条例」に基づき、土壌汚染対策に取り組んでまいりましたが、昨年4月の改正土壌汚染対策法公布を受け、また条例運用上の課題も生じていたことから、大阪府環境審議会に土壌汚染対策制度の見直しについて諮問し、同年11月に答申を得ました。この答申に基づき、本年2月の大阪府議会において条例を改正し、本年4月1日に施行したところです。
  以下、主な改正条例の内容をご紹介します。


1.土地の利用履歴調査の継続
    条例では、水質汚濁防止法の特定施設の有無に拘わらず、3,000m2以上の形質変更時に当該土地における有害物質の使用履歴についての調査を課してきましたが、これまで発覚した土壌汚染の約90%が履歴調査によるものであったことから(図−1参照)、引き続き履歴調査の実施を義務付けます。ただし、形質変更の定義や届出時期は改正法と整合を図るため、所要の改正を行いました。

2.自主調査等に係る指針の策定と指導・助言
  大阪府域においても、多くの土壌汚染調査が法や条例に基づかない自主的な調査により実施されている状況ですが(図−2参照)、その調査方法や対策に対する信頼性や客観性を向上させるため、本年秋頃に自主調査等に係る指針を策定し、本指針に基づき指導や助言を行います。

3.土地所有者の責務の追加
  汚染された土砂の受入による汚染を未然に防止するため、土地所有者の責務として、搬入する土砂の汚染状況を把握するよう求めます。具体的には、予め搬出元において土壌汚染調査を行ってもらい、土地所有者が受入れ前にその結果を確認すること等により、実効性を確保します。
  その他、昨年10月に「汚染土壌処理業の許可に関する指導指針」を策定しており、処理業の許可に当たって周辺地域の生活環境等の保全が図られるよう指導しています。
  大阪府では、今後も法・条例の適切な運用を図り、土壌汚染対策を進めてまいりますので、ご支援の程よろしくお願いいたします。
図−1 土壌汚染が発覚した情報源
図−1 土壌汚染が発覚した情報源

注)大阪府条例に基づく土地の利用履歴調査結果による
(平成16年1月〜21年3月)



図−2 大阪府内で実施された土壌汚染状況調査の内訳
図−2 大阪府内で実施された土壌汚染状況調査の内訳

注)大阪府条例に基づく指定調査機関(16社)に
対するアンケート調査結果による




横浜市環境創造局
規制指導課


  改正土壌汚染対策法が、本年4月1日に施行された。横浜市における土壌・地下水汚染対策は、土壌汚染対策法や横浜市生活環境の保全等に関する条例(以下、市条例)等に基づき、有害物質使用特定施設を設置する土地所有者や特定有害物質を使用する事業所の設置者に対して行われていたが、この改正法施行により、土壌汚染状況の把握のための制度の拡充や搬出土壌の適正処理の確保など大きく制度が改正されることから、施行のための準備や本市の実情に応じた制度改正の検討を進めてきた。
  本稿では、これらの準備及び制度改正の取り組みについて紹介する。

1.改正法施行に向けた取り組み

  (1)情報の収集・整理
     特定有害物質によって汚染されているおそれがある土地の基準に該当するか否かを判断するための情報を収集・整理し、データベース化を進めた。
  (2)改正法の周知
     改正法の主旨や手続きについて十分に周知する必要があることから、本年3月に特定有害物質使用事業所の設置者に加え、不動産、建設業関係者を対象とした説明会を行った。
  (3)汚染土壌処理業の許可制度に関する準備
     ア.指導要領の制定
      許可制度の新設に伴い、平成21年9月に環境の保全に対するより一層の配慮及び、適正な処理の推進を図るため、改正法に定めるもののほか、計画段階での周辺住民への周知等の手続きを盛り込んだ「横浜市汚染土壌処理業許可等に関する指導要領」を制定した。
     イ.汚染土壌処理業許可申請手数料
      平成21年9月に横浜市手数料条例の一部を改正し、汚染土壌処理業許可申請手数料として1件240,000円と規定した。

2.横浜市の制度改正の取り組み
  法や条例に基づかない土壌汚染の判明の増加、汚染土壌の不適切な処理による汚染の拡散等の問題を解決する必要があることから、横浜市は、平成20年6月に横浜市環境創造審議会(以下、審議会)に「土壌・地下水汚染の規制のあり方」について諮問した。
  この諮問を受けて審議会は、土壌・地下水汚染対策検討部会を設置し、横浜市における現状と課題を整理し、土壌汚染対策法の改正を踏まえた規制のあり方について検討を行い、平成21年11月10日に答申を行った。
  この答申を受け、横浜市では制度改正素案を作成し、平成21年11月26日から同年12月25日までの間でパブリックコメントを実施した。

制度改正素案の概要
  (1)土壌・地下水汚染の把握の機会拡充
  (2)土壌汚染対策と地下水汚染対策の総合的な取組
  (3)土地所有者の責務の明確化
  (4)搬出汚染土壌の適正処理
  (5)土壌・地下水汚染の情報提供の充実
  (6)調査・対策の信頼性の確保
  (7)命令・罰則の規定
  (8)汚染土壌の搬入による土壌汚染の防止
  (9)市条例手続の整理

3.今後の予定
  制度改正素案に関するパブリックコメントの意見及び、この2月に公布された環境省令等の内容を踏まえ、制度改正のための作業を進めている。