新 年 挨 拶
大野 眞里
(社)土壌環境センター
会長
大野 眞里

  新年を迎え、謹んで新春のお慶びを申し上げます。年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。
  世界の経済は、2008年9月の米国のリーマンショック後の100年に一度といわれる金融危機により、恐慌状態といわれるほど落ち込みました。我が国の金融界は、サブプライムローン問題の影響は軽微であるといわれておりましたが、米国およびEU諸国における銀行間取引市場の混乱の中、貿易の実質的なストップの影響により、我が国の輸出は一時的に崩壊状況になり、我が国経済は、世界の金融危機の深刻な影響を受けました。
  昨年は、その影響をもろに受けて不動産市況も悪化し、関連企業の倒産が相次ぎました。物価指数もマイナス傾向が続いており、昨年末に政府内閣府はデフレ状況であると宣言しました。
  このような経済状況を脱却するためには、財政政策と金融政策を積極的に打たなければならないと思われますが、両政策のいずれも極めて鈍い発動となっています。このままでは、財政赤字にともなう膨大な国債発行によって導かれる円高と長期貸出金利の上昇により、輸出減と民間設備投資減となり、景気後退の二番底が訪れる可能性も大きくなっています。特に日銀によるマネーの量的緩和、国債の買入などを早急に取組まないと、我が国経済は、とんでもない状況を迎えるのではないかと恐れます。いずれにしても、大変、厳しい状況は、今年もしばらく続くのではないかと予想されます。
  土壌汚染は負の遺産、レガシーコストとして捉えられておりますが、そのコスト負担は、経済成長の中で吸収するしかないものといえます。つまり市場でコストを吸収するということですので、市場がデフレで商品が動かない状況では、土壌汚染対策も進まないということになります。そのことを考えると、政府の適切なマクロ経済政策を一刻も早く発動することを切に願わないわけにはまいりません。
  昨年は、未曾有の景気後退の中で、本格的な政権交代がありました。恐らく二党間での政権交代は当然とする時代の幕が切って落とされたのでしょう。昨年の新政権発足後の動きを見ますと、これが政権交代なのかと改めて認識させられました。土壌環境対策は、不動産市況と密接に連動しております。新政権が、不動産市況の分野に対してどのような政策を打つのか、また、地域経済の活性化のためにどのような政策を打つのか、当センターとしても関心を持って見守っていきたいと思います。
  さて、昨年は、当センターにとっても非常に大きな出来事として、土壌汚染対策法の抜本的な改正がありました。この改正により原位置浄化を重視することになりました。盛土や封じ込めによる対策を促進するためには、真っ新ではない土地であっても問題ないことを、国民、事業者、また、土地取引関係者に十分に理解して頂くことが極めて重要となります。そこで当センターとしては、適切な土壌汚染対策について関係者の皆様により一層の理解を得ることに重点において活動を展開していきたいと考えております。
  役員一同、土壌・地下水汚染対策に関する活動の一層の推進と土壌環境センターの発展のため、決意を新たにして取り組む所存でございます。会員の皆様には、従来にも増してご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。