「第15回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会」報告

1.はじめに
  「地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会」は、その第1回を平成3年4月京都市で開催して以来、平成20年6月さいたま市開催の第14回まで大勢の方々のご参加を得て成功裡に行われてきました。
  この度、第15回の研究集会が去る6月18日(木)〜19日(金)に名古屋国際会議場 (名古屋市熱田区熱田西町)において開催されましたのでご報告します。
  なお、昨今の新型インフルエンザ対応の観点から、検討を重ねた結果、併催行事については前日のプレワークショップは予定通り開催されましたが、恒例の懇親会については中止となっております。

2.開催の概要
  今回の研究集会は、実行委員長に日本地下水学会評議委員の佐藤 健(岐阜大学 工学部 教授)を迎え、日本地下水学会、(社)日本水環境学会、(社)廃棄物資源循環学会、(社)地盤工学会、(社)土壌環境センター の主催で行われ、環境省、厚生労働省、愛知県、名古屋市をはじめとする17団体の後援をいただきました。

<プレワークショップ>
  研究集会の開催に先立ち、「環境リスクと地下水・土壌汚染」をテーマにプレワークショップが、6月17日(水)に多数の参加者を集め、盛況に開催されました。
  下表プログラムに示されるように、土壌汚染対策法改正等、昨今注目されるトピックに鑑みた内容となっており、大変興味深く聴講された方が多かったのではないでしょうか。

   プレワークショップ 「環境リスクと地下水・土壌汚染」

(1)「愛知県における地下水、土壌汚染行政への取組み」
                         愛知県副知事 稲垣 隆司 氏

(2)「土壌環境行政の最新動向」−土壌汚染対策法の改正−
     環境省水・大気環境局 土壌環境課課長補佐 天野 賀仁 氏

(3)「地下水保全行政の最新動向」
    環境省水・大気環境局 地下水・地盤環境室長 和田 篤也 氏

(4)「地下水からなぜ重金属等が検出されるのか」
     −自然的原因によるヒ素・フッ素汚染−
                     九州大学 名誉教授 島田 允尭 氏

(5)「土壌・地下水汚染リスクの考え方」 
      京都大学工学研究科 都市環境工学専攻教授 米田 稔 氏 

<研究集会>

  開催期間中は、616名と多数の参加者が集まり、164件の多岐にわたるテーマの発表が、例年通り口頭発表及びポスター発表によるハイブリッド形式で行われました。
  今回特筆する事項として、官公庁、学校関係者の参加が大幅に増えたことが挙げられます。特にプレワークショップでは参加者の3分の1以上を自治体関係者が占めておりましたし、研究発表では総発表件数164件の内、官公庁、学校関係者が3割程度を占めておりました。
  学官の積極的な参加は発表テーマのバランスにもつながり、主催者としても喜ばしい現象と言えます。テーマは調査技術や浄化技術などのジャンルも幅広く、また基礎的研究から

プレワークショップ


研究発表


ポスター発表会場


企業展示エリア
実サイトでの結果報告まで多岐に渡り、参加者の方々におかれましては、効率的な情報収集の場となったのではないでしょうか。実際のテーマについては紙面の都合から割愛しますので、当センターホームページをご覧ください。

<ポスター発表>
  ポスター発表会場においても、活発な意見交換が見受けられました。また今年の新しい取組として、企業展示エリアを設け、一般から公募しました。出展者は調査機器などの実機を展示したところもあり、より具体的な意見交換が行われていたように思われます。

3.おわりに

  来年、名古屋国際会議場をメイン会場として、COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催されることとなっています。実行委員会委員長の開会宣言においても、これまでに築き上げてきた地下水・土壌汚染に対する調査・対策・評価の考え方や技術が、生物多様性を含めた環境修復にどのように貢献できるのか、今回の研究集会は少し広い視点から点検する良い機会ではないかとのお話がありました。ポスター会場を中心に活発な意見交換が交わされていましたが、第15回という節目に相応しい討論が深められていたのではないでしょうか。
  来年の研究集会開催は、仙台市で6月17日(木)、18日(金)の2日間が予定されていますのでご参加をお願いします。