土壌汚染対策法の一部を改正する法律案について

笠井 俊彦
環境省 水・大気環境局 
土壌環境課長
笠井 俊彦
プロフィール
昭和35年生まれ
岐阜県出身
東京大学法学部卒業
平成20年7月14日より現職

  日頃より、土壌環境行政の推進に関し、格別のご支援、ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
  平成21年3月3日に、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案の国会提出が閣議決定され、3月13日に国会に提出されました。なお、改正法案の全文は、環境省ホームページに掲載されているので(http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10848)、適宜御参照いただきますようお願いします。

  以下、改正法案について項目順に、主要な事項を解説します。

(1)土壌の汚染の状況の把握のための制度の拡充
   1)面積が一定規模以上の土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事にその
     旨を届け出ることとし、都道府県知事は、当該土地が土壌汚染のおそれのある土地であ
     ると認めるときは、当該土地の所有者等に対し、土壌汚染状況調査を命ずる。
   2)土地の所有者等は、法に基づかない調査により土壌汚染を発見したときは、都道府県
     知事に対し、規制対象区域の指定をするよう申請することができる。
   3)都道府県知事は、土壌汚染に関する情報を収集し、整理し、保存し、及び適切に提供
     するよう努めるものとする。

(2)規制対象区域の分類等による講ずべき措置の内容の明確化等
  一定の基準を超過する土壌汚染が存在する土地を一律に指定区域に指定する制度を改め、当該基準を超過する土壌汚染が存在する土地を 1)措置実施区域と 2)形質変更届出区域に分類して、指定することとする。 1)は健康被害のおそれがあり、汚染の除去等の措置を講ずる必要のある土地であり、 2)は健康被害のおそれはないが、土地の形質の変更をするときの届出が必要な土地である。
  1)については、都道府県知事は、土地の所有者等に対し、講ずべき措置を明確に指示することとしている。

(3)汚染土壌の適正処理の確保
   1)汚染土壌を措置実施区域又は形質変更届出区域外へ搬出しようとする者は、都道府県
     知事に対し、その旨を事前に届け出なければならない。都道府県知事は、届出された運
     搬方法が基準に違反し、汚染土壌の処理を許可を受けた者(以下「汚染土壌処理業者」
     という。)に委託していない場合には搬出の計画の変更を命ずることができる。
   2)汚染土壌を運搬する者は運搬基準に従わなければならず、汚染土壌を搬出する者は汚
     染土壌処理業者にその処理を委託しなければならない。これらの規定に違反した場合に
     は、措置命令の対象となる。
   3)汚染土壌の運搬及び処理が適正に行われたことを確認するため、管理票を使用すること
     とする。
   4)汚染土壌処理業の許可制度を創設して施設及び事業者の能力を確認するとともに、不適
     正な処理が行われた場合には、改善命令の対象となる。都道府県知事は、許可の前提
     となる能力が欠けた場合には許可の取消し等を命ずることができる。

(4)その他
  指定調査機関の指定の5年の更新制度等を創設する。

  なお、施行期日は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日としています(汚染土壌処理業の許可申請に係る規定は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行)。環境省としては、国会において法案を可決成立していただいた後、下位法令の制定準備に入り、法の円滑な施行を図ることとしたいと考えています。関係者のみなさまがたにおかれましては、法律改正の趣旨をご理解いただくとともに、円滑な施行ができるよう引き続きご協力をお願いいたします。