環 境 省 挨 拶

環境省 水環境局 土壌環境課長 坂川勉
 環境省 水・大気環境局
 土壌環境課長
 坂川 勉
プロフィール
昭和33年生まれ
北海道出身
北海道大学工学部卒
平成18年7月20日より現職

  土壌環境センターの総会に当たり、ご挨拶申し上げます。
  土壌環境センター及び会員の皆様方におかれましては、土壌環境行政の推進に関し、日頃よりご理解、ご協力をいただき、ありがとうございます。
  我が国の土壌汚染対策は、もともと農用地における対策から始まりましたが、近年は市街地の土壌汚染対策の必要性が高まっています。平成14年には土壌汚染対策法が制定され、翌15年から施行されています。施行からの5年間で、法に基づく土壌汚染状況調査が898件、そのうち指定基準を超えて指定区域に指定されたのが259件となっています。また、これらの指定区域では対策が進められ、汚染が除去されて指定区域が解除された件数が128件となっています。
  一方で、法律の制定をきっかけとして土壌汚染に対する社会的な関心が高まり、法律の対象とならない場合でも土地の売買のときなどに土壌汚染の調査が行われる場合が増加してきています。その結果、法の対象とならない部分で汚染が判明することも多くなっています。全国の指定調査機関が行った土壌汚染の調査のうち、法に基づくものは3%という数字もあります。
  また、土壌汚染対策法は、人の健康の保護のための対策として、有害物質の摂取経路を遮断することを基本としています。しかし、対策方法の実態を見ますと、盛土や封じ込めなどの対策で十分な場合であっても掘削除去が行われることが多くなっています。このため、現場から搬出される汚染土の不適正な処理が懸念され、また、いわゆるブラウンフィールド問題が深刻化するおそれもあります。
  このように、5年間の法の施行を通じて浮かび上がってきた課題や、法の制定当時から指摘されていた課題に対応するため、昨年度に「土壌環境施策に関するあり方懇談会」を開催し、現状と課題を整理し、今後の施策のあり方をご検討いただきました。その報告が3月末にとりまとめられています。
  さらに、5月には、環境大臣から中央環境審議会に対し、今後の土壌汚染対策のあり方について諮問したところです。今後、同審議会の土壌農薬部会に土壌制度小委員会を設置し、議論を進めることとしています。その結果を踏まえて、制度改正などの必要な対応を行ってまいりたいと考えています。
  また、土壌汚染の調査や対策が円滑に進むよう、新たな技術の開発が期待されています。皆様方におかれましては、関連の事業を推進されますとともに、土壌環境行政の推進に関して、引き続きご理解とご支援をいただきますよう、よろしくお願いします。
  土壌環境センター及び会員の皆様のますますのご発展を祈念しまして、ご挨拶に代えさせていただきます。