金属をためる植物たち |
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高知大学 農学部農学科 教授 (いわさき こうぞう) 岩崎 貢三 |
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本稿では、大変盛況のうちに終了した「土地取引と土壌汚染対策の基礎講座」セミナーin 四国・中国においてご講演いただいた、高知大学 岩崎貢三教授のご紹介と同セミナーでのご講演内容について、編集者の取材記事としてご紹介させていただきます。 2. 講演内容紹介 |
鉱山跡地などに生育している「重金属超集積植物」の中には、通常の植物の示す含有率の約100倍以上の重金属を集積するものがあり、グンバイナズナの一種、スズシロソウ(写真1)、ヘビノネゴザ(写真2)等が知られている。これらは植物体内で重金属を無毒化するばかりでなく、根からの分泌物や共生微生物、根圏に生息する微生物群集の効果による強力な重金属獲得メカニズムを有すると考えられている。国内でのこの分野の研究は限られているが、海外ではその耐性メカニズムに関する研究が多く報告されており、遺伝子工学的な応用によって、将来的には「バイオマスの大きな植物」または「生物濃縮係数の高い植物」を兼ね備えた植物が出てくるかもしれない。 | |
写真1 スズシロソウ Arabis flagellosa |
写真2 ヘビノネゴザ Athyrium yokoscense |
3. まとめ 講演内容を総括すると以下の3点になる。 1.動くことのできない植物は、与えられた環境に適応し生育するために、養分の確保や有害 物質の集積・無毒化などの様々なメカニズムを有している。 2.そのメカニズムは、植物種によって異なっており、同じ植物種でも、生育環境の違いによ って能力の発現程度に差が認められる。 3.植物の金属集積メカニズムを解明することは、植物の生命の謎を解き明かすことにつな がるばかりでなく、これからの環境浄化技術を考える上でも重要である。 |