土壌環境センター GEPC 技術標準第2号の制定

  このたび、土壌環境センター技術標準「重金属等不溶化処理土壌のpH 変化に対する安定性の相対的評価方法 ―硫酸添加溶出試験法・消石灰添加溶出試験法―」を制定しましたので報告いたします。

背景/目的

  重金属等の不溶化処理は比較的低コストで、効果的な対策手法の一つであるが、適切に処理した後にも永続的な管理が必要であるなどの理由により、あまり適用されていません。
  本技術標準は、(1)重金属等不溶化処理技術の向上と普及を図ること、(2)重金属等の溶出に大きな影響を及ぼすpH についてその影響度合いを評価する試験法を提供すること、(3)不溶化処理に用いる不溶化剤の選定や施工・管理に役立つ品質にかかわる基礎データを得ることを目的として制定しました。

経緯
  重金属等不溶化処理に関しては、平成8〜9年度環境庁委託業務により調査検討を開始し、その後自主事業『不溶化処理土壌の長期安定性に関する検討部会』で調査検討してきました。
  具体的には、不溶化処理事例、不溶化処理土壌のpH 変化に対する安定性とその評価法(諸外国の溶出試験法による結果との関係性)について検討してきました。
  今回の技術標準は、これらの活動成果を基に『技術標準制定規程』に則り制定したものです。


技術標準の要旨
  本技術標準は、重金属等の溶出に大きな影響を及ぼすpH 変化について、その影響度合いを評価するための試験法を定めたものです。
  この試験法は、重金属等による汚染土壌を試験対象とする不溶化処理技術の検討およびその室内試験を行う場合に適用するものです。不溶化処理後の土壌試料について硫酸および消石灰水溶液の添加により、pHを一定条件で変化させたときの重金属等の溶出量を相対的に評価する方法について規定しています。試験法の手順を図1に示します。

図1 硫酸添加溶出試験法と消石灰添加溶出試験法の手順
  対象とする物質は、土壌汚染対策法に指定される第二種特定有害物質の9物質(重金属等)です。

適用範囲及び留意点

  本技術標準はセンターが自主的に、不溶化処理をした土壌試料の技術的な検討を行うために想定・設定した試験法(条件および手法)です。
  したがって、法令、基準およびその他の試験法との関連および関係はありません。
  また、化学的に不溶化処理された土壌を対象とするものであり、以下の試料は適用範囲外としております。
  (1) 自然地盤の土壌および建設発生土
  (2) 不溶化処理を含む措置を施す前の汚染土壌
  (3) 汚染土壌において不溶化処理以外の措置を施した土壌
  (4) 廃棄物が混入しているため、全体が廃棄物であると判断されるもの
  (5) 溶融スラグ等 廃棄物の処理・無害化物

まとめ
  本技術標準に併せて作成した解説書では、制定の趣旨・経緯、適用範囲、試験法における条件の設定根拠などの詳細を説明しています。
  本技術標準の普及展開および適切な活用により、不溶化処理技術の向上とより一層の適用拡大を期待します。
  なお、会員企業を対象とした説明会は、4月下旬までに開催する予定です。