環 境 省 新 年 挨 拶

環境省 水・大気環境局 土壌環境課長 坂川勉
 環境省 水・大気環境局
 土壌環境課長
 坂川 勉
プロフィール
昭和33年生まれ
北海道出身
北海道大学工学部卒
平成18年7月20日より現職
  新年あけましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。旧年中は、土壌環境行政の推進に関し、格別のご支援、ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
  さて、土壌汚染対策法が施行されてから今年2月で丸5年が経過します。この間、同法に基づく調査・対策が進められてきており、昨年9月までに801件の土壌汚染状況調査の結果が都道府県・政令市に報告され、そのうち240件が指定基準に適合しなかったために指定区域として指定され、必要な対策が講じられています。また、法律の適用がない場合であっても、土地の売買などに当たって土壌汚染の状況が調査されるようになってきており、むしろ法律や条令に基づかない自主的な調査の方が多いという状況になっています。そのようなものも含めて都道府県等が把握した調査の件数は年々増加する傾向を示しており、土壌汚染の調査及び対策が広範に行われるようになってきています。
  一方で、現場ごとの汚染状況や土地利用状況に応じた合理的かつ適切な対策の促進方策、法制度と自主的な調査・対策の関係のあり方、搬出汚染土の適正処理の確保、いわゆるブラウンフィールド問題への対応などの課題も抱えています。土壌汚染は不動産の価値に影響することから、経済的な問題という側面も有しており、今後、ブラウンフィールド問題が深刻化するおそれもあります。土壌汚染対策を適切かつ円滑に進めていくため、国民の皆様に土壌汚染対策法の趣旨をよりよく理解していただくことや、土壌汚染による健康リスクについて関係者の共通理解を得るためのリスクコミュニケーションを推進すること、調査・対策の信頼性を向上させることも重要であると考えられます。
  このため環境省においては、昨年6月から「土壌環境施策に関するあり方懇談会」を開催し、土壌汚染対策に関する実態を把握するとともに、様々な課題を整理し、今後の方向について議論を進めているところです。今年は、この懇談会での報告をとりまとめ、その内容を踏まえて、さらに施策の具体化や制度改正に向けた取組みが必要となりますので、土壌汚染対策の推進のための節目の年となるものと考えています。
  また、農用地の土壌汚染対策に関しては、昭和40年代から農用地土壌汚染防止法に基づいた地域指定や対策が進められてきました。今年は食品としての米などに含まれるカドミウム濃度の基準が見直される可能性があることから、これに関連して、土壌汚染対策が必要とされる農用地の判断基準である指定要件の改正に関する検討を進めています。
  我が国において土壌汚染対策が進みつつある一方で、このように多くの課題が存在しています。その解決に向けて取り組んでまいる所存ですので、皆様のご理解とご協力をいただきたく、よろしくお願いします。最後になりましたが、皆様の益々のご発展とご健勝をお祈り申し上げまして、新年のご挨拶とします。