「オンサイト措置検討部会」部会紹介

部会長 川口 知司
1.土壌汚染措置の現状と問題点
 土壌汚染対策法が施行されてから3年が経過し、様々な土壌汚染措置の研究開発が進み、実用化されてきております。しかし、措置の多くは「掘削除去措置+場外搬出」が主で、「掘削除去措置+場外搬出以外」の措置(以下「オンサイト措置」という)はあまり普及していないのが現状であります。
 昨年度実施したアンケート調査(若手技術者による技術テーマ検討調査部会「掘削除去・場外搬出に関するアンケート」)によると、「明確性」「確実性」が重視された結果、土壌汚染措置の70%以上が他の措置との比較検討もせず、「掘削除去措置+場外搬出」のみを提案し、実施されておりました。

2.方針
 当部会では、安易に「掘削除去措置+場外搬出」を行うのではなく、多種多様な土壌汚染措置の中から汚染状況、跡地利用等、様々な要因に基づいた適切な措置を提案、実施していくのが本来の土壌汚染措置のあるべき姿であると考えております。そして、当部会活動がそうした土壌汚染措置のあるべき姿へと変革する一助となることを期待しております。

3.目的
 土壌汚染措置の契機の一つである土地売買時には、「明確性」「確実性」を重視するため、「掘削除去措置+場外搬出」が採用される傾向が大きいようです。また想定される多大な修復コスト(主に掘削除去措置費用)が重荷になり付加価値の高い土地以外は、取引が具体化せず遊休地にならざるを得ない現状が推察されます。そこでアンケート調査等により、『「オンサイト措置」により土地の有効利用や土地売買ができた事例』を知っていただき、オンサイト措置も提案の一つに加えていただくことを目的に検討を行っております。

4.活動内容
【アンケート調査】
 「オンサイト措置により、適切に措置(健康被害を防止)することで土地の売買が成立した事例」を収集・公開することによって、まずは土壌汚染業務に携わる方々の意識を『掘削除去措置+場外搬出でしか土地取引は成立しない』から、『オンサイト措置でも土地取引は成立する』に変えることができるのではないかと考えました。さらには、土地取引成立にいたった要因等を考察し、公開することで、行政、不動産業界、さらには広く社会全体にその意識を浸透していけるのではないかと考えております。

【来年度以降の活動】
 会員の方々にご協力いただきましたアンケート結果より課題を抽出し、各汚染サイトに最適な土壌汚染措置を提案していただくための解決策を検討、提案したいと考えております。