創立10周年を迎えて

岡安 誠
         (社)土壌環境センター 名誉会長  岡安 誠

  このたび、土壌環境センターが創立10周年を迎えるに当たり、長い間、センターの運営に御協力を頂いた関係者の皆様に、心から御礼を申し上げます。
  さて、私は土壌環境浄化フォーラムの設立当初から土壌環境問題に係わってまいりましたが、この問題と最初に縁が出来ましたのは昭和45年(1970)で、この年の11月に開かれた公害国会で制定された農薬取締法の一部改正法と農用地土壌汚染防止法の立案に、当時の農林省農政局参事官として、関与したのが最初であります。
  次は、昭和46年(1971)7月1日に発足した環境庁の初代の水質保全局長として、土壌環境対策を担当した時です。尤も、この時手がけたのは、市街地以外の農用地の土壌汚染対策と農薬の使用による土壌(農地)汚染対策及び廃棄物の処理に伴う土壌汚染対策くらいなもので、最も必要とされた市街地の土壌汚染対策は、全く、手付かずでした。それは、単に、忙しかったということではなくて、行政としてのアプローチが大変難しい分野だったからであります。
  以来、平成14年(2002)に土壌汚染対策法が制定されるまでの長い間、平成3年(1991)に土壌の環境基準が設定されたとはいえ、依然として、法制化の困難を克服することは出来ませんでした。
 従って、平成4年(1992)に、土壌環境ビジネス関係企業の有志が相寄って、土壌環境浄化フォーラムを設立したのも、その最大の目的は、土壌汚染対策のための法律制定の促進で、爾来、フォーラムの活動の重点はこの一点に集中され、これは、平成8年(1996)、フォーラムが社団法人土壌環境センターに衣替えして新発足しても、引き続き、懸命な努力が続けられた次第です。
  省みれば、土壌汚染対策法の制定は、フォーラムの発足から約10年、センターの発足からでも約6年の歳月を要した訳で、このことは、法律の制定が如何に難しかったか、そしてそのため、環境省を筆頭に関係者が如何に努力されたかを雄弁に物語っている訳で、感慨深いものがあります。

創立10周年記念誌所載