土壌・地下水浄化技術展 技術セミナー報告

  8月31日(水)〜9月2日(金)の3日間、東京ビッグサイト(東京国際展示場)東展示ホールにおいて「2005地球環境保護土壌・地下水浄化技術展」が国際洗浄産業展との同時開催で行われました。この展示会は、フジサンケイビジネスアイと(社)土壌環境センター他の4団体の共同主催で開催され、今回は「環境との共生−ニーズに応える最新技術」をテーマに、80の企業・グループが出展しました。
  3日間ともに好天に恵まれ、合計の来場者数は26,311名を数える盛況となりました。また、土壌環境センターのブース来場者も3日間合計で324名に達しました。
  展示会2日目の9月1日午後には当センター主催の「2005土壌・地下水浄化技術セミナー」が開催されました。本セミナーは、「技術ニュース第9号」に掲載された報文を中心に6編の講演者が選ばれ、論文掲載以降に得られた新


しい知見等を含めて発表されました。セミナー参加者は141名にのぼり、民間企業からの参加者に加え、17名の自治体関係者の参加がありました。
  講演は、現場での測定技術からベンゼン・ダイオキシン類の浄化技術、重金属の不溶化技術、さらにリスク評価法を適用した汚染サイトの土地有効活用と幅広い内容となりました。講演者と表題ならびに講演内容の要約を下表にまとめます。紙面の都合上、詳しい内容については技術ニュース掲載の報文を参照してください。

講 演 者
表 題 と 講 演 内 容 の 要 約
立野 久美
国際航業(株)

<PCBイムノクロマトグラフィー法による土壌汚染濃度簡易スクリーニングの適用性について>
 イムノクロマトグラフィー法はPCBによる土壌汚染濃度の迅速測定技術の一つで、実際の汚
染サイトから採取したPCB汚染土壌について、本測定方法と公定法による分析値を比較し、
本方法によってPCBの基準超過の有無をスクリーニングすることが可能と評価した。
小林 薫
飛島建設(株)
<ボーリング孔内の3次元流向流速測定による精度向上に関する検討>
 単孔式の孔内流向流速測定において、従来の測定器では測定不可能であった3次元的な
地下水の流れを測定するために、光学式流向流速計を現場に適用し、3次元的な流向と10-4
cm/sレベルの3次元流速測定が可能で、測定精度向上が可能であることを確認した。
藤井 治彦
(株)大林組
<難透水性ベンゼン汚染土壌を対象とした原位置浄化技術−現場実証試験結果−>
  シルト層におけるベンゼンの土壌汚染に対し、バイオパファー工法(高圧空気をパルス状
に繰り返し土中に注入)を用いた現地実証規模での原位置浄化実験を実施し、難透水性地
層であっても原位置浄化が可能であることを確認した。
篠原 隆明
栗田工業(株)
<チタン系薬剤による鉛汚染土壌の不溶化と処理土壌のpH安定性評価>
  pH変動に対して安定な不溶化処理薬剤としてチタン塩に注目し、フラスコおよびカラム試
験を行い、pH4〜12.5までの範囲で換算期間にして800〜1000年の間、鉛の溶出を環境基準
以下に抑制できることを確認した。
佐藤 岳史
(株)テルム
<間接熱脱着+水蒸気分解法によるダイオキシン類汚染土壌浄化技術>
  ダイオキシン類の低コスト浄化技術として間接熱脱着+水蒸気過熱法(ジオスチーム法)を
開発し、パイロットスケール(50kg/h)の底質ダイオキシン類無害化試験を実施した結果、底質
環境基準・排ガス基準・排水基準を満足する結果を得た。
笹本 譲
(株)鴻池組
<健康リスク評価の適用による土壌汚染サイトの土地有効活用に関する提案>
  日本においてはまだ馴染みのうすい土壌・地下水汚染の健康リスク評価を導入し、想定汚
染サイトのケーススタディを通して、汚染実態の評価および合理的な浄化目標値を設定し、対
策費用の低廉化や汚染サイトの有効利用の促進を提案した。