海 外 視 察 団 報 告

 
(社)土壌環境センター 村井 行男

  今年度の海外視察調査は、美坂団長以下16名の参加のもとに、米国カリフォルニア州のモントレーで開催された国際会議(Remediation of Chlorinated and Recalcitrant Compounds)への参画を中心にカリフォルニア州立大学での特別講義の受講および汚染修復中のサイト視察を加えた下記日程にて実施した。
5月23日 成田発 サンフランシスコ着
5月24日 国際会議(Remediation of Chlorinatedand
 〜27日 Recalcitrant Compounds)に参画
5月28日 カリフォルニア州立大学で特別講義
      汚染修復サイト視察
5月29日 サンフランシスコ市内視察
5月30日 サンフランシスコ発
5月31日 成田着

  国際会議の行われたモントレーは、サンフランシスコの約100km南に位置し、カリフォルニア州が米国に併合される以前のスペイン領土時

海外視察調査団員(国際会議場ロビーにて)
代からキリスト教の伝道所および 漁業の町として栄えた由緒あるところであり、現在ではその理想に近い自然環境のためシリコンバレーの成功者達に住宅地として人気のある落ち着いた静かな町である。

  その静かな町で行われた国際会議は、米国Battelle社主催のもので、揮発性有機化合物、重金属等難分解性物質を対象にした各種浄化技術、適用事例等多岐にわたる発表が4日間で口頭発表約300件、ポスター発表約400件行われた。発表者は米国の企業・コンサル、および大学・研究機関が主であるが、日本をはじめアジア諸国や欧州諸国からの発表もあり非常に活発なものであった。発表は6会場で同時進行の形で行われたため、我々団員は各自興味のある発表毎に別れて広範囲に活動し、連日のハードな会議に苦労しながらも、有意義な成果を得ることができた。

  国際会議終了後、カリフォルニア州立大学デービス校(UCデービス)にKate Scow 教授を訪ね我々視察調査団向けの特別講義を受けた。講義は最近起きたガソリン汚染およびその対策事例をもとに、汚染対策時の諸注意、微生物のDNA鑑定を用いたバイオ処理の評価法等についての講義を受けた。
  UCデービスは、カリフォルニア州都サクラメントの近郊にあり学生数約3万人と多いが、広大な敷地は緑豊かでうらやましくなるほどのびのびしたキャンパスであった。

  汚染修復サイトとしては、McClellan空軍基地跡を視察した。同地は2001年に基地機能は閉鎖されたが、航空機の補修等のために使用された溶剤及び廃棄物等によって約12km2の敷地はVOC,重金属のみならず一部は放射能で汚染されているところもあるとのこと。修復作業は1980年代から開始し現在も汚染場所に応じ地下水揚水、土壌ガス吸引、覆土、掘削除去等で継続中でありまた並行して各種試験が行われているが、修復には今後更に10〜15年必要の見通しとのことであった。
  軍属の担当者3人によって説明が行われたが、説明資料も完備されており全てオープンであった。まさにリスクコミュニケーションの一環を体験した感じであった。

  (詳細は、海外視察調査報告書を参照願います。)