広報分科会よりのメッセージ



  「羊は柔和な動物だけど、未年には戦争や暴動が多い」という。そんな干支論議で明けた平成15年もほぼ4ヶ月が経過した。大方の予想通りイラク戦争が始まり、大方の予想に反してイラク軍の大きな抵抗もなく、戦争は終結に向かいつつあるかに見える。この戦争は、その内容と質はともかく当初情報戦争といわれ、新しい戦争という側面を見せながら進行した。しかし、圧倒的な米英の軍事力の前に今や話題の中心はイラク戦後の政治復興や経済復興の議論へと移っている。
  そんな中、イラク戦争の陰でもう一つの重大な問題が進行していた。重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団発生問題である。中国当局のとった当初の情報操作とその後の情報開示のまずさが、世界を震撼させる大問題にまで事態を悪化させてしまった。内容的にはイラク戦争を超える問題であり、情報開示の重要性を改めて示す結果となっている。
  一方、国内では旧日本軍が保管・投棄した毒ガス漏洩事件がマスコミに報じられた。正確な情報開示がないまま、模範的な戦後復興を遂げた我が国に、戦後半世紀後発生した残留・遺棄兵器問題である。我が国の例を引くまでもなく、残留・遺棄兵器の問題は根が深く、息の長い問題である。イラクの戦後復興に向けて、残留・遺棄兵器の正確・迅速な情報開示が求められる。土壌・地下水環境問題にかかわる一員として、イラク国土の復興の行方に強い関心を抱かざるを得ない。
(広報・教育委員会 広報分科会)