環境省の発足に当たって


環境省環境管理局  水環境部長  石原一郎      

プロフィール
1951年 兵庫県生まれ
1973年 京都大学法学部卒
1973年 農林省入省
       食品流通局野菜計画課長、大臣官房総務課広報室長、
       農蚕園芸局企画課長、 構造改善局農政部農政課長、
       大臣官房文書課長を歴任。
2001年1月より現職。 

 明けましておめでとうございます。
 (社)土壌環境センターの会員の皆様方におかれましては、日頃から土壌・地下水環境保全のために御尽力いただき誠にありがとうございます。
 本年1月6日付けで水環境部長に就任致しました。直前は農林水産省大臣官房審議官として、食品産業におけるリサイクルの推進や食品の流通構造の改善等食品産業や流通業を対象とした業務に携わっておりました。また、これまで、農業、水産業及び農村の振興や、国際関係等における農林水産行政に携わって参りましたが、今回、新たな組織の下で環境行政に取り組むこととなり、心身ともに引き締まる思いであります。
 さて、本年1月6日に省庁再編により環境省が発足いたしました。従来、環境庁水質保全局で担当していた土壌・地下水環境行政は、新たに設けられた水環境部へと引き継がれたところでありますが、水環境部といたしましても、新生「環境省」の下、環境保全行政の推進に一層真摯に取り組まなければならないと考えております。水環境部がこれから取り組んでいくべき課題は様々ありますが、その中で、土壌・地下水汚染対策はストック汚染対策として、水質汚濁等に係る規制の充実や健全な水循環の回復等と並ぶ重要な課題と位置づけております。
 土壌・地下水環境の保全のための施策については、これまで、人の健康を保護し、および生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準として土壌環境基準を設定するとともに、土壌環境基準の維持達成に向けて、調査・対策手法や技術を体系的に取りまとめた「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針」と「同運用基準」を示し、事業者等に対して、土地利用の改変などの機会を捉えた調査・対策の実施といった自主的な対応を求めてきたところであります。また、土壌環境基準については、昨年12月の中央環境審議会答申を受け、その項目にふっ素およびほう素を追加する予定としております。
 一方、近年、市街地において土壌汚染が判明する事例が増加し、土壌・地下水汚染に対する社会の関心が高まってきている中で、これに関連し、適切な調査手法の在り方や汚染土壌の処理費用負担の明確化等、対策を有効に推進するための制度の構築を求める声が一段と強くなってきております。このような状況を受けて、環境省では、法律、対策技術等の専門家、地方公共団体の担当者等から構成される「土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会」において、土壌環境保全対策のために必要な制度の在り方について幅広く調査・検討を進めることといたしました。今後、土壌汚染の環境リスクのとらえ方や調査・処理対策の在り方等の解決しなければならない種々の課題についても同検討会において御議論していただくこととしております。
 以上のような施策の推進を通じ、21世紀における土壌・地下水環境の保全に努めてまいる所存であります。
 (社)土壌環境センターの会員の皆様におかれましても、土壌・地下水環境保全行政の推進に関する更なる御理解と御協力をいただきますよう心からお願い申し上げます。