平成11年度調査研究成果発表会報告

当センターの主催で平成12年7月24日(月) "三田NNホール"において平成11年度 調査研究成果発表会が開催された。

1. 発表会式次第
開会挨拶 (社)土壌環境センター 専務理事 兒玉 利昭
環境庁挨拶 環境庁水質保全局土壌農薬課 課  長  伊藤  洋
環境庁挨拶 環境庁水質保全局地下水・地盤環境室 室  長  岩田 元一
発表挨拶 (社)土壌環境センター 常務理事 美坂 康有
閉会挨拶 (社)土壌環境センター広報・教育委員会 委 員 長  岡田 和夫


2. 発表テーマ
No. 演題 発表者
1 油汚染土の暫定処理指針案の策定事業
 (1) 自主基準の策定
 (2) 調査・分析
 (3)対策マニュアル基礎
 (4) ケーススタディ
浅野工事(株)
応用地質(株)
鹿島建設(株)
(株)鴻 池 組
大橋 貴志
菱田実木夫
今立 文雄
笹本  譲
2 建設工事に伴う汚染土壌の処理方法に関する
マニュアル策定事業
 (1) 総 論
 (2) 各 論
(株)大 林 組
同和鉱業(株)
峠  和男
白鳥 寿一
3 GEPC―Sの策定事業
 (1) 揮発性有機化合物
 (2) 重 金 属 等
前澤工業(株)
(株)大 林 組
松下  孝
川地  武
4 MNA(自然科学的減衰)に関する調査研究 国際航業(株) 前川統一郎
5 ダイオキシン類に関する特別対策委員会報告 (社)土壌環境センター 美坂 康有
6 含有量参考値再評価調査事業 (株)環境管理センター 境谷 浩一
7 地下水浄化汎用装置開発普及調査事業
 (1) サイト-1
 (2) サイト-2
 (3) サイト-3
 (4) サイト-4
 (5) 揮発性有機化合物による地下水汚染の対策
住友金属工業(株)
明治コンサルタント(株)
スミコンセルテック(株)
(株)鴻 池 組  
(株)鴻 池 組   
岡田 克己
上砂 正一
山崎 健司
松久 裕之
大北 康治
8 土壌環境情報解析調査 大成建設(株) 氏家 正人
9 土壌・地下水汚染調査対策の費用推定 (株)住友海上リスク総研 山本  勇
10 センター事業報告
 (1) 調査企画部
 (2) 技術部
(社)土壌環境センター
(社)土壌環境センター
玉虫 達夫
岡田  啓

3.発表内容
 今回の調査研究発表会は例年よりも早い時期に開催された。発表テーマは10件で、20名による研究成果の報告があった。
 環境庁水質保全局からは伊藤課長・岩田室長が出席され、会員企業からは約150名の参加があった。会場は満員で熱気に溢れた報告会となった。
 兒玉専務理事による「土壌汚染の顕在化や認識が高まってきているので、今後の活動で浄化対策を全面に推し進める」との開会挨拶で報告会が始められた。来賓として環境庁伊藤課長から「土壌・地下水汚染技術に関してはまだまだ欧米の技術が主流であるが、我が国独自の技術を開発して、21世紀のランドマークを担ってもらいたい」、環境庁岩田室長から「地下水は人間にとって尊いものである、センター会員の皆さんは重要なお仕事に携わっているので大いに期待している」とのご挨拶があった。
 引き続いて、美坂常務理事から「調査研究の成果はセンターの知的財産であり、皆さんの調査研究に力点をおいて簡潔に発表してもらいたい」という司会挨拶があり、成果発表報告に移った。

 10件の発表テーマの内容を要約すれば、次の通りである。
  (1) 発表テーマNo.1からNo.3は、今まで行ってきた油汚染土に対する暫定処理指針案策定、建設工事
    に伴う汚染土壌の処理および揮発性有機化合物・重金属による土壌・地下水汚染に対するセンター
    基準案策定などの研究成果についての報告であった。この報告内容は集大成され、マニュアル本や
    成果報告書として近く発刊される予定である。
  (2) 発表テーマNo.4は、海外で盛んに研究されている新しいテーマで、今回初めて取り上げられた自然
    科学的減衰(MNA)についての研究成果報告であった。1年間の成果発表とともに、今後「浄化終了判
    定」「制度面判定」及び「自然科学的減衰(MNA)の浄化手法」が研究課題となるとの報告があった。
  (3) 発表テーマNo.5では、ダイオキシン類の「除去する暴露経路の遮断」や「現場での迅速分析器の開
    発」などについての研究成果が報告された。
  (4) 発表テーマNo.6では、全国10都市、193地点のメッシュ調査による土壌中の重金属等の暴露量算定
    や暴露リスクの評価などについて報告された。
  (5) 発表テーマNo.7はセンターが受託している4件の委託事業についての報告であり、土壌・地下水浄
    化汎用装置の開発と浄化コストに関する事例報告があった。さらに、揮発性有機化合物による地下水
    汚染対策として「特定地下浸透」や「浄化対策の支援制度」についてのマニュアル化についての報告
    があった。
  (6) 発表テーマNo.8は、センターの委託事業報告で、3カ年の自治体からのアンケート調査による汚染事
    例の分析と日本の汚染サイト数の推計について報告された。
  (7) 発表テーマNo.9は、日本全土での土壌・地下水汚染調査対策の推定費用についての報告であった。
    詳細については本誌5ページの「我が国における土壌汚染対策費用の推定」を参照されたい。
  (8) 発表テーマNo.10は、センターからの事業報告で、調査企画部として今まで行ってきた事業実績を踏
    まえて土壌環境修復事業の推進による事業企画やIT利用による情報管理の向上・強化を計ることが
    報告された。また、技術部としては委託・請負事業や新浄化技術の拡大推進を行っていくことが報告
    された。

 このように各発表者から今後の課題や抱負が述べられ、各セクション毎に活発な質疑応答が行われた。
 特に、環境庁としては今後検討会だけでなく有識者を交えて今まで収集したデータを整理していきたいとの前向きな発言があった。今後の調査研究成果が大いに期待される。
 司会の美坂常務理事から、「これまでは技術面や社会的ソフト面の解析がされているが、今後環境庁と連携して情報の蓄積を計っていきたい」との抱負が述べられた。
 最後に、岡田広報・教育委員長から「発表者のみならず関係者の皆さんのご支援に感謝申しあげます。本年はステップアップの年として中期展望を立案している。広報・教育委員会からのお願いとして当センターへのご意見をお待ちしています。」との挨拶があり閉会した。



平成11年度調査研究成果発表会風景