土壌・地下水保全活動を通じて社会貢献と会員ビジネスの育成

  

(社)土壌環境センター 会長  岡安 誠

 平成9年度の事業報告および平成10年度の事業計画について,簡単に説明させていただきたいと思います。

 まず,平成9年度の実施事業のうち技術関連事業では,新たに「油対策技術調査」などを実施し,情報収集等事業では海外情報交流のため欧米へ視察調査団などの派遣を行いました。また,講習会・広報等事業では環境庁水質保全局監修の「地下水の水質保全」の刊行や,米国の職業安全および保健管理資格取得のための米国職業安全・保健管理局(OSHA)講習会の開催などを実施いたしました。

 次に請負事業と委託事業については,兵庫県と熊本県からの請負事業以外はすべて環境庁関連事業となっています。その中心となる「リスク管理手法調査」では,環境庁が平成9年度に制定されました重金属や有機塩素系化合物にかかわる「土壌・地下水汚染調査・対策指針」を大幅に見直し,新しL)指針を策定されるために必要とされる基礎的な調査・検討を行いました。なお,この新しL)対策指針は平成10年度中には改訂,策定される予定となっております。

 また,昨年度におきましては環境庁からの要請により廃棄物最終処分場構造基準等についての検討調査を行うなど,当初予定していなかった事業も多く実施いたしました。補助金等事業では,環境事業団の助成金をいただき,環境庁と東京都との共催により「第1回国際土壌・地下水環境ワークショップ」を開催するとともに,郵政省の助成金で「土壌・地下水環境の国際データベース・ネットワーキング事業」を実施いたしました。

 次に平成10年度の事業ですが,主要事業につきましては,平成9年度事業を継続しますが,今年度事業で特に申し上げたいのは,自主事業の情報収集等事業の中の「土壌環境市場性調査」と,「調査手法等の標準化推進事業」であります。前者の仕事は,土壌・地下水汚染の調査・対策の事業規模等を推定する調査であり,後者の仕事は環境庁において平成10年度中には改訂される予定の土壌・地下水の対策指針をベースとしながら,対策事業の実施のために必要な事項を予測し,より具体的・実践的な土壌環境センター独自の「自主基準」を作成しようとするものです。この2事業は今後,おおむね2ヶ年で完了する見込みとなっております。

 最後に組織規程の改正について申し上げます。組織改正については,今後の当センターの社会的な役割などを運営委員会で検討した結果,常設委員会を企画,技術,広報教育の3委員会とし,センター事業組織についても総務,調査企画,技術の3部に整理統合することといたしました。当センターも発足以来2年を経ており,フォーラム時代から数えれば5年以上経過したことになります。この際,センター設立の原点に戻り,産・官・学が協力し,土壌・地下水保全活動を通じて社会に貢献するとともに,会員の健全なビジネスの育成を図るという目的を再確認し,この目的達成のために努力してまいる所存であります。