欧 州 視 察 調 査 団 報 告

(社)土壌環境センター 柳 脩一郎
 土壌環境センターの自主事業の一つである、国際情報交流事業は今年度で第4回となりますが、今回は欧州視察調査団を派遣することとなりました。10月21日から10月30日の10日間、イタリア、オランダ、ドイツでの3ヶ所の会社訪問と5ヶ所のサイト訪問です。
 調査団には、8社(アジア航測、オルガノ、栗田工業、神戸製鋼所、清水建設、スミコンセルテック、同和鉱業、前澤工業)からと団長の美坂常務理事、それに事務局の私の10名です。
 10月21日、昼近く成田を発ち、約14時間の旅の後、イタリアのミラノには夜の8時半(日本時間:22日午前2時半)頃着きました。太陽が進む方向に飛行機は飛んでいますので、殆どが昼間の飛行です。オランダのスポール空港では入国する人々を麻薬犬を使ってチェックしているのには驚きました。後日、ガイドさんの説明によると、オランダ政府は治安維持のため、麻薬常習者には無料でくばっているとのこと。一同ビックリです。
 翌朝はPPG・ITALIA社を訪れ、キシレンで汚染された工場敷地の浄化・修復現場を見学し、昼食後、IT社のサリバン氏(1月に開催するワークショップの米国からのスピーカー予定者です)から「英国における土壌・地下水問題の現状」についての説明を受けました。
 2番目の訪問先は、オランダのデルフト市にあるDeStraat社、この会社は1983年にデルフト工科大学の学生が総業した会社で、今では150人から160人の従業員を抱え、土壌汚染や環境問題を取り扱っているとのこと。事務所に働いている人は皆若い人ばかり、廊下ですれ違っても中高年は見当たりません。ここで2日間、午前中は「オランダの法制度・適用技術」などについてのプレゼンテーションを受け、1日目の午後はバスで30分位の所にある空軍基地跡の防音壁の建設現場へ、2日目の午後は、バスで1時間半の所にあう空軍基地での石油汚染土壌のバイオパイルによる土壌浄化現場の見学でした。時折ジェット戦闘機の発進する爆音で説明が聞き取れない位で、まさに生きている空軍基地への侵入でした。
 宿泊地のデルフトは焼き物で有名な街であり、ドイツのマイセン以外にも焼き物で有名な街があることを知ったのは私の収穫でした。土産物店では焼き物と木をくりぬいて作った木靴が目立ちました。
 ドイツでの午前中の訪問先はベルリンの北東50kmにあるナチスの時代に作られ、ソ連軍が使用していた空軍基地跡地での油による地下水汚染浄化対策の実験現場を訪れたのでした。午後はそこから南へ約180kmのHGN社トルガウ支社を訪れ、トルガウ市の建設環境部の責任者がらトルガウ市訪問の歓迎の挨拶を受け、担当責任者からは市の汚染対策について、説明を受けました。ここでもナチス時代からの弾薬やロケット燃料等の製造工場跡地からの汚染でした。説明の跡、汚染地下水浄化施設を訪問しましたが、その跡地は今では牧場となり、牛がのんびりと牧草を食んでいました。
 環境庁の要請により、美坂常務と矢垣氏は調査団よりも1日早くミラノ入りし、ミラノ市の北方約20kmにあるセベソを訪れ、1976年に起きた工場爆発によるダイオキシン問題のその後の調査をしてきました。
                 

欧州視察調査団の一行