環境省挨拶 |
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環境省 水・大気環境局 土壌環境課長 柴垣 泰介 |
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土壌環境センターの平成23年度総会に当たり、会員の皆様には、平素より土壌環境行政の推進に格別のご支援とご協力をいただいておりますことに、改めて厚く御礼申し上げます。 この機会に、最近の土壌汚染対策を取り巻く問題状況や課題などについて、お話をさせていただきたいと思います。まず、東日本大震災への対応については、被災地域の土壌の緊急モニタリング調査を実施しております。これは津波により有害物質を取り扱う工場やPCB保管庫が流失し土壌に汚染が残っているのではという懸念に対応するものです。福島原発事故に伴う放射性物質の土壌汚染問題については、土壌汚染対策法を含め環境法制において放射性物質問題への対応が除外されているので、環境省が本格的に対応するためには政府内での新たな枠組みの議論が必要になります。とは言うものの、土壌の問題ということで土壌環境課として無為無策は許されないことから、当面の対応としてこれまでの有害物質の土壌対策技術を活用・応用できないか、そのための実証事業や技術評価等に取組んでいきたいと考えています。 土壌汚染対策法の改正法施行から1年2カ月になりますが、この間クローズアップされた課題は、自然由来重金属類が法対象になったことに伴うものです。この点は、行政刷新会議の規制・制度改革分科会でも取り上げられ、改正法施行通知で対象にしたと誤解があったのですが、指定区域からの汚染土壌の搬出規制を法制化したことに伴う法解釈の変更で、掘削・搬出という人為が加わった以降は自然由来汚染を他と区別する理由がないことによるものです。搬出規制の実施のために区域指定についても自然由来汚染が対象になりました。これに伴い従来自然由来に準じて適用除外扱いになっていた公有水面埋立地の埋立用材による汚染も対象になりました。これらについて昨年の施行段階では、自然由来汚染は原則形質変更時要届出区域に指定することとし、汚染の除去等の措置は求められないとしたに留まりました。このため、自然由来汚染や埋立由来汚染の区域における土地の形質変更については、汚染土壌の搬出を伴わない限り制約を極力少なくすることが必要です。調査についても、工場跡地を主な対象とした現行方法とは異なる広がりや深さなどの要素を組み込むことが必要となるため、会員の有識者の方々に参画いただき検討を重ねてきました。その成果を省令改正等や7月末のガイドラインの改定に繋げるべく作業が進められています。さらに、公共事業などによって自然由来汚染の地域からも膨大な土壌の搬出が予想されますので、改正法において制度化した認定調査をより柔軟適切なものに改善して、搬出土壌の有効利用や処理済土壌等の再利用の観点も組込む必要があります。これらの課題への当面の対応は今回の省令改正などに取り入れましたが、今後も制度のフォローアップを行い、それに基づいた更なる検討が必要となると考えています。前記の規制・制度改革分科会では、以上の対応を行っていくことをもってご理解いただきました。 加えて、本年1月近藤環境副大臣が訪中した折に、中国側から土壌汚染対策に関する協力要請があり、とりあえず本年9月に北京において日中共同で土壌汚染対策のセミナーを学識経験者や関係企業の方々の参加も得て開催しようということになっています。その後も含め関心のある会員企業のいろいろな形での参画を期待しています。 以上のように、今後は本センター及び会員の皆様の知恵と技術がますます必要になっていくと思われますので、更なるご支援、ご協力をお願いいたします。 |