会 長 挨 拶
大野 眞里
(社)土壌環境センター
会長
大野 眞里

  当センターの会長を引き続き拝命致しました大野です。土壌環境センターも明確な羅針盤のない中を航行しなければならない難局の時代を迎えております。改めて身を引きしめて任に当たりたいと思っておりますので、ご協力の程、よろしくお願い致します。
  さて、昨年4月に改正土対法が施行され土壌環境対策の新たなベースラインが確定いたしましたが、未だ平成20年9月のリーマンショックの打撃から抜けだしていないところに、3・11の未曾有の東日本大震災、さらには政局の流動化と、我が国を取り巻く社会経済環境は依然として試練に直面しております。
  今回の大震災によってもたらされたことの一つとして、安全神話が完全に崩れ、我々の社会がリスクに囲まれているということが認識されたことが挙げられます。初めて社会がリスクつまり危険の確率に向き合わざるを得ないことが明らかにされました。
  リスクの思想が社会に定着していないため、ありえない事故が万一起った場合を想定しての対策を検討することを許されませんでした。しかし、今後はそのリスクはゼロではなく、万一起きた場合の影響を考慮し、それをどう管理するか、マネジメントするかを冷静に検討することが求められるようになるのではないかと思っています。
  このことは、土壌汚染対策にも今後、良い意味で影響してくるのではないかと期待する面でもあります。
  土壌汚染もリスク問題として捉える必要性があるのは御承知のことですが、このリスクつまり危険の確率の考え方を一般の方々に理解してもらうのはなかなか難しい面があります。原発事故の副次効果と言いますか、現代はリスク社会であり、社会がそれにどう向き合っていくのかを冷静に見つめる機会になるのではないかと考えております。それは社会がより成熟する良い機会になるのではないかと思います。
  もし、そうなれば、土壌汚染対策についても冷静な議論が可能になるのではないかと思っております。もっとも逆に、絶対ゼロリスクの声がさらに強くなる可能性もありますが・・。リスクと共存し管理する社会はまだまだ理想かもしれませんが、そのような社会に向かうことが日本の成熟への道なのではないかと信じるところです。
  このような状況の中、当センターも一般社団法人に向けた準備をします。事業全般の見直しも必要になってきています。このように課題が山積しておりますが、今後のセンターの取組みに対して皆様のご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。