環 境 省 挨 拶

笠井 俊彦
 環境省 水・大気環境局 
 土壌環境課長
 笠井 俊彦
 

  改正土壌汚染対策法が4月17日に成立して、24日に公布されております。ここにいたるまでセンターの会員の皆様と何回か意見交換させて頂き、答申が出来た時また法案が出来た時、いろいろとお話をさせて頂きました。さらに2月に自民党の環境部会のフロン・化学物質対策小委員会のほうで、事業者のヒアリングが行われたときには、副会長の大野さんに出て頂きました。大野さんにはそのあとの国会の参考人質疑がありまして衆参両方ともに出て頂いて、やっぱり土環センターじゃないと人はいないのかということは、国会議員に広く知れ渡ったということであります。
  今回の改正を一言でいえば、汚染土壌が見つかっても大騒ぎしないで適切に対処していきましょうということです。
  掘削除去というのはある意味汚染を拡散する行為なので、どうもいろいろ聞いてみると「あとは業者に頼んだのでどこに持って行ったのか知りませんよ」という発言があったりして、不適正処理事例も発覚しており、そこはきちんとしないといけないということで、搬出の際の届け出の仕組みをつくって処理業の許可制をいれて管理票も義務化しました。
  工場の敷地の中で一部だけ規制対象区域にしていると、工場内で汚染土壌を動かすと届出がいることになりますから、出来れば敷地全部を規制対象区域にしましょうということになっています。
  とにかく、汚染土をあんまり勝手に動かすことはやめて欲しい、ということで考えて、今の指定区域自体が対策をやってもらわないといけない区域なわけではなくて、時には手をつけずそのまま置いておいてもらってもいい、健康被害のおそれがあれば対策をやってもらうんだけれども、なければそのまま置いておいてもらって、形質変更するときに注意をして頂ければいい区域です。
  そのぐらいの区域ですから、届出だけでいい区域を作りました。
  対策がいるか否かというのは、土地所有者は立ち入っても構わないけれども一般の人が立ち入ることができるような状態においてあるとあぶない、近くで地下水が飲まれていればあぶない。上水道が引いてあるとどうかということは今議論している所ではありますけど。そのような場合には措置を一緒に指示して、つまり台帳にのせる時にどういう措置が必要かということも一緒に指示して頂く。
  その措置というのは環境リスクの観点から必要十分なものでいいのではないか。
  そういう形にしておけば、自主的な調査が8割以上、法律に基づく調査が2%しかないと、40倍以上の調査をきちんと行政に評価してもらって、逆にいうと台帳にのっている土地というのはきちんと行政が目を通した調査がなされた土地ですと、台帳にのっていなければ行政が全然知らない土地ですよと、ということになる仕組みになっています。
  調査の契機を増やすべきかという前に、40倍も調べられているのでまずは調べた結果を活用させていただこう。
  規則対象区域に進んで申請して頂ければ何が足りないかということも示して、公定法に則っているかどうかということも補足してありますから、それで適切に管理して頂こう。だいたいよほどのことがなければ将来形質変更がある時に届出だけすればいい区域ですから。そういうこともありますのでそこで改正法施行後は現在の指定区域は要届出区域になりますということもきちんと位置付けてあります。
  あと一定規模以上の改変の場合には、いくつかの自治体が(土壌汚染の9割ぐらいをしめる三大都市圏の自治体が)一定規模以上の土地の改変をする際には調査を求めることになっていますので、改変のある時に届出をしてもらって土壌汚染のおそれのあるということがあれば、昔有害物質使用特定施設があったとか事故があったとかたまたま汚染があることを知っているとか、そんな場合には調査して頂こうということになっています。さらに土壌汚染状況調査の中に過去の履歴を見て汚染の可能性を判断することがありますので、ボーリングせずに履歴だけみて進んで規制に伏すという人も出てきている。そういうこともありではないか。
  見つかることはいいことで、みんなの共有の情報として持っていく。
  対策をやるんだったらなるべくオンサイトで、という方向でやっていきたいと思っているので、その方向で技術ノウハウの向上を考えていただきたい。さらに届出だけでいい区域であっても、必ず汚染のある土地の上に住みたくないとか買いたくないとかいう人はいると思うのですが、そういう嫌だなということと環境リスクがあるかどうかということとは全く別のことですので、環境リスクの観点からは対策はいりません、ということははっきり示めせるような仕組みに変えたいと思っています。「汚染地域環境リスク遮断型住宅」といったものを売り出すくらいの考えでやっていただきたい。
  施行が来年の4月1日までにしないといけなくて、処理施設の方は10月23日までには許可の申請受付を出来るようにしなくてはいけないということで今急いでやっている。具体的には7月1日と7月29日の中央環境審議会の小委員会には考え方がでてきて、10月に入るまでには政省令を全部決めて動き出せるようにはしたいと思っています。そんな中で、まさに土壌汚染の現場を知っていて専門知識がある方というのはほとんどこの土壌環境センターの会員企業の方々ですので色々と教えてほしいと思いますし、何かあればいつでも結構ですのでご指導頂きたいと思います。