平成18年度「土壌汚染状況調査・対策」実態調査結果

企画委員会 統計調査部会
  統計調査部会は、平成19年度に実施した当センター会員企業を対象とするアンケート調査集計結果を検討し、「平成18年度実態調査結果」としてとりまとめた。この結果は、企画委員会および運営委員会での承認を得て、10月10日に当センターとして公表した。対象データは平成18年度における土壌汚染調査・対策事業の受注件数、受注高等の実態をとりまとめたものである。この結果、平成14年度以降平成18年度までの5年度分の実態調査結果が蓄積された。以下、実態調査結果をより正確に理解していただくために、調査票の改善点や平成18年度実態調査結果と5年間の推移の特徴および実態調査の精度向上策について述べる。

1.今年度調査票の見直し点
  アンケート調査の源である今年度実施調査票は、統計調査部会が昨年度実施のアンケート調査票に記載された会員からの意見やデータ集計結果の不具合点を検討して、昨年度版を見直した調査票である。特に、昨年度調査結果は、件数、受注高ともに顕著な増加傾向であったが、数値的には実務者の実感以上の多さではないかという意見があった。そこで、数値が大きくなる原因として記入数値に重複があり得たのではないかと考え、重複や重複を生起させる原因となる「調査票」および「記入要領」に記述されていた書き方を改めた。今年度の調査票は、以下の主要な改訂を行ったものであった。
  (1)調査と対策業務の重複をなくすために、調査と対策業務を一括して受注した場合には、概数でかまわないので、受注額を調査と対策業務に分けて記入するように明記した。
  (2)受注件数、受注高ともに元請ベースでの値を記入することになっているが、元請の定義理解や取扱に記入者間に統一がとれてなかったため、対象とすべき具体的な業務事例を列挙して元請の考え方が統一されるように明記した。
  (3)調査票に記入する件数、受注高は「受注ベース」かつ「1契約単位毎」を原則とすることを明記した。
  (4)上記と同様に、従来の「記入要領」を訂正したうえで、調査票の表紙に『昨年度と一部変更されているので、本調査票中の「実施要領」と「調査票の記入要領」を確認の上、記入下さい。』と明記した。さらに、調査票ページ右上に『記入要領の○ページ参照』と、記入者に記入要領を確認して記入してもらうよう追記した。

2.平成18年度実態調査結果の特徴
  (1)受注件数は、合計14,790件で、調査12,434件(84%)、対策2,356件(16%)であった。また、契機別割合については、調査分野は自主が90%、条例・要綱が9%、が1%であり、対策分野は自主が85%、条例・要綱が12%、が3%であった。
  (2)受注高は、合計1,993億円で、調査191億円(10%)、対策1,802億円(90%)であった。また、契機別割合については、調査分野は自主が77%、条例・要綱が17%、が6%であり、対策分野は自主が73%、条例・要綱が18%、が9%であった。(以上、表−1参照)

表−1 平成18年度実態調査結果表

3.汚染土壌調査・対策事業の5年間の推移
 5年間の推移の特徴をみれば、以下のようにいえる。
  (1)土壌汚染対策法の施行(平成15年2月15日)以降、調査・対策の受注件数、受注高とも
増加傾向にある。なお、増加傾向については、受注高では平成16年度から平成17年度への伸びより、平成17年度から平成18年度の伸び率が少し小さくなっているが、受注高の5年間の推移は増加傾向が継続し、平成17年度からその伸び率がさらに大きくなりつつある。受注件数についても、平成16年度から平成17年度への伸びより、平成17年度から平成18年度の伸び率が少し大きくなっているが、受注件数の5年間の推移は直線的な増加傾向にある。(図−
1参照)

図−1 受注件数・受注額の5年間の推移
  (2)平成18年度は、同法施行前の平成14年度に比し、受注件数では4.3倍に、受注高では3.6倍にそれぞれ右肩上がりに増加している。(表−2参照)

表−2 土壌汚染調査・対策事業の受注実績

4.実態調査の精度向上
  データ的には会員企業の記入データに対し守秘性を堅持しつつ、当初設定システムどおりに正確に実施されている集計結果であるので、データ記入の精度を向上させることが調査結果の信頼性向上の打ち得る策と考える。特に、今回以下のような課題に遭遇したことを踏まえて、さらに自由意見にも提案されていた電子調査票化を1つの記入精度の向上策として検討していく予定である。
  (1)データ記入には精度向上が伺われるが、中には回答欄間違いと思われる記入データが数例見られたので、記入要領の確認の徹底や質問項目順番等様式についての改善を図る必要がある。
  (2)受注件数、受注金額の記入に、件数では件単位を100件単位に丸めてあるもの、金額では100万円単位を億円単位に丸めてあるものが、数データ散見されたことから、記入精度の向上に協力を願う必要がある。
  なお、上記の記入データチェック時において、当該会員企業名は一切知ることができないことを付記する。
  このように、統計調査部会としては、引き続き、調査票、記入要領の改善に努めていく予定である。