「土壌汚染状況調査・対策」実態調査結果 (平成17年度)

企画委員会 統計調査部会

  統計調査部会は、会員企業を対象とした平成18年度実施のアンケート調査の集計結果を検討の上、実態調査結果としてとりまとめた。土壌環境センターは、この結果を10月10日に公表した。公表対象は、平成17年度における土壌汚染状況調査・対策事業の受注件数、受注高等の実績をとりまとめたデータである。当センターは、これまで土壌汚染対策法施行の前年度にほぼ相当する平成14年度以降の各年度についてアンケート調査をしてきており、今回で計4年度分の調査結果が蓄積されたことになる。以下、アンケート調査結果と解釈上の留意点について述べる。

1.調査方法など留意点
  今年度の調査票は、会員からの意見やデータ集計結果を検討して、改善点を反映した調査票(平成18年度実施調査票)である。この調査票を会員企業183社に配布して、162社の回答を得た(回収率88.5%)。
  また、集計業務は、守秘義務契約を結んだ集計会社が単純に処理作業するので、各会員が記入したままに集計され、原データには一切の手は加えられていないものである。
  集計結果データについては、調査集計において以下のような前提で実施されているので、解釈時には考慮していただきたい。
  (1)受注件数、受注高ともに「元請」ベースでの値を記入することになっており、会員企業が元
    請と判断した数値が集計されている。
  (2)実態の数値が小さいにもかかわらず、「法3・4条契機の○○」という項目があるのは、土
    壌汚染対策法の影響を定量的に把握したい意思があるためであり、今後も続くことになる。
  (3)「法以外(条例契機、自主調査)」の項目については、これまで条例契機が小さい数値であ
    ったことから1項目であったが、条例契機の数値が無視できなくなった今回からは、「条例
    ・要綱契機の調査」と「自主調査」の2項目に分けている。
  (4)たとえば、自主調査を行う契機の「その他」は、この数値が大きくなれば、その契機と考え
    られる「法規制の改変」や「ISO等経営方針の影響」を考慮し、「その他」項目を細分類化し
    てきているので、集計結果を単純に同一項目で年度比較できない項目がある。

2.平成17年度実績の特徴
  (1)受注件数は、合計10,812件で、調査9,044件(84%)、対策1,768件(16%)であった
    (表1参照)。
  また、契機別割合については、調査分野は自主が81%、条例・要綱が16%、法が3%であり、対策分野は自主が81%、条例・要綱が15%、法が4%であった(図1参照)。

表1 平成17年度土壌汚染状況調査・対策の集計結果表
  (2)受注高は、合計1,624億円で、調査180億円(11%)、対策1,444億円(89%)であった。ま
    た、契機別割合については、調査分野は自主が75%、条例・要綱が19%、法が6%であ
    り、対策分野は自主が68%、条例・要綱が19%、法が13%であった(図2参照)


図1 契機別受注件数

図2 契機別受注高

3.平成14年度から平成17年度の土壌汚染状況調査・対策事業の推移の特徴
  集計結果のデータ的特徴をみれば、以下のようにいえる。
 (1)土壌汚染対策法の施行(平成15年2月
    15日)以降、調査・対策の受注件数、受
    注高とも増加傾向にある。
 (2)平成17年度は、同法施行前の14年度に
    比し、受注件数では3.2倍に、受注高では
    2.9倍にそれぞれ増加している(表2参照)。
表2 土壌汚染状況調査・対策事業の受注実績
  なお、増加傾向については、平成15年度から平成16年度への伸びと平成16年度から平成17年度の伸びが著しく、受注件数の伸びや受注高の伸びがアンバランスという気にかかる点がある。しかし、データ的には会員企業の記入データをそのまま集計した結果であり、集計に誤りはないので、データの中身を以下の点からチェックしているのでこれらも考慮して解釈していただきたい。
 (1)元請ベースの集計値であるが、ダブりを多少含んでいる可能性があるが、本調査の中で
    はそれらの定量化はできない。
 (2)受注高の前年度の伸びより今年度の伸びが著しいが、今年度の回収数は前年度より
    25%程度多く、単純に集計データ量が増えているのは事実である(表3及び図3参照)。
 (3)受注高では前年度の伸びより今年度の伸
    びが著しく、受注件数では前年度の伸び
    が今年度より著しい結果となっているが、
    会員企業の決算期が異なる(3月期決算
    以外の会社数が会員数の33%程度)ため
    データ的に二年度に分散されて集計され
    本来前年度相当のデータが今年度に入っ
    ている可能性があり、結果としてその中に
    含まれているデータが受注高、件数の増
    大に影響している可能性がある。しかし、
    本調査の中ではそれらの定量化はできな
    い。

図3 土壌汚染状況調査・対策事業の規模の推移
  いずれにせよ、このような気になる点に対して統計調査部会では、調査結果の精度向上をめざして類似調査結果との比較など調査方法の見直し検討を実施しており、その結果を次年度の実態調査票に反映していく予定である。
表3 実態調査結果の推移