広報分科会よりのメッセージ



  今年は早々から「時代の寵児」と呼ばれていた若き経営者の証券取引法違反、建築物の耐震偽装など、企業モラルの問題が政治、経済を大きく揺るがしています。倫理の希薄化と拝金主義が蔓延し、自己中心的で他人を思いやる心のない人が多くなったなどと評する人もいます。法令違反は問題外としても、市場経済のもとでの企業行動が、最低限のレベルで法令遵守という社会的責任を確保できればよいといった倫理観で、利益追求に向かうのはそもそも自然な流れです。企業の土壌汚染への対応においても、必要最低限の義務までで取組む企業と、先行して自主的な調査対策まで取組む企業があります。土壌汚染に限らず、環境問題への企業の対処についてはそもそも利益追求と相反する側面があり、企業の環境行動のレベルはまさにこの倫理観に左右されます。

 企業の社会的責任の重要性が注目され、環境経営を真剣に標榜する企業の取組が多数報じられた昨年までの状況においては、この企業倫理観に単に利益追求だけではないパラダイムシフトが感じられただけに大変残念な感があります。

 客先企業の環境対応に専門家としてアドバイスを行う際、法令遵守の為に最低限どこまでやらなければならないのかと問われる機会は多々あることでしょう。コンサルタントの立場として、あるいは環境をビジネスとして見ている立場として、改めて企業の環境倫理について考える機会とも捉えられるのではないでしょうか。
(広報・教育委員会 広報分科会)