新 年 挨 拶

岡安 誠
         (社)土壌環境センター会長  岡安 誠

  明けましておめでとうございます。
  今年の2月には、土壌汚染対策法(土壌法)の施行2周年を迎えます。ようやく土壌法施行の効果が数字の上にも表れて参りました。
  会員の皆様のご協力を得て、今年度から始めた土壌浄化事業統計(詳細はセンターHP参照)によると、法施行前(平成14年度)と法施行後(平成15年度)とでは、会員の受注件数は3,424件から5,178件と伸びております。一方、土壌法施行1周年における土壌法対応調査が81件、そのうち汚染が見つかり指定区域となったものは14件でありますから、受注件数の伸びの大部分は土壌法対応以外の自主的取組の増加によるものと見られます。
  自主的取り組みの動機は平成14年度2,298件中(複数回答)、(1)土地売買(1,194件)、(2)土地改変(266件)、(3)土地資産評価(236件)の順であります。平成15年度は3,672件中(複数回答)、(1)土地売買(2,030件)、(2)土地資産評価(569件)、(3)土地改変(327件)で土地売買が他の動機を大きく引き離しております。
  このように、統計結果は、土壌汚染があると土地が思った値段では売れないという考えがかなり浸透してきたことを物語っております。これは土壌法の施行効果の一つといえましょう。今後の統計の推移を見極める必要はありますが、減損会計の導入を控え企業等の土地所有者は、社有地の資産価値の保全の観点から土壌汚染に対し自主的に取り組む姿勢を強めていることが窺われます。
  このような土壌浄化事業の動向に対応すべく、土壌法の施行と相まって自主的取組を支援する当センターの活動は、会員の皆様のご協力を得てセンター独自の資格制度の浸透、不溶化試験法等の技術手法の普及、指定調査機関に対する講習の実施、事業統計の開始など、着実に期待に応えるものであります。
  また、2月には韓国環境省及び製油業界の専門家を招き、韓国の油汚染対策事情に関するセミナーの開催を予定しております。土壌法では規制されていないものの市場からは対策を求められる油汚染について、韓国の規制先例を学ぼうとするものであります。
  なお、センターの会員数は創立以来、毎年増加の一途を辿り続け、特に土壌法成立の前年から昨年度末までの間に1.5倍に増加しましたが、昨年1年間でみると192社から189社へと初めてわずかに減少に転じました。
  念願の土壌法が成立して3年、センターの活動も、ここにきて成長期から成熟期に入りつつあるように思われます。土壌・地下水汚染対策に関する日本の中心的な情報発信基地として、センターの役割は益々高まりつつあると認識しております。
  年頭に当たり、役職員一同、土壌・地下水汚染対策に関する活動の一層の推進と土壌環境センターの発展のため、決意を新たにして取り組む所存であります。
  会員のみなさまには、従来にもましてご支援を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。