〜 環 境 省 挨 拶 〜

坪香 伸




環境省 水・大気環境局
水環境担当審議官
坪香 伸つぼか しん)
坪香 伸 プロフィール
平成 16年 1月 国土交通省河川局河川環境課長
平成 17年 8月 環境省環境管理局水環境部長
平成 17年 10月 現職に就任

  本年10月1日付けで環境省の組織改革があり、新たに全国7ヶ所の地方環境事務所が設置されるとともに、環境管理局と水環境部とをまとめて、水・大気環境局が設置されました。この改革に伴い、このたび水環境行政や土壌環境行政などを担当する水環境担当審議官に就任しましたので、この機会に(社)土壌環境センターの会員の皆様方に就任の御挨拶を申し上げます。

  水・大気環境局の水環境グループとしてこれから取り組んでいくべき課題は、水環境保全のための枠組みの再構築、改正湖沼法に基づく施策の効果的な実施等様々ありますが、その中でも皆様と関係が深い土壌環境・地下水環境行政は、安全で安心な社会の構築のために重要な役割を果たさねばならぬものと考えております。

  さて、土壌汚染対策法は、市街地における企業の工場跡地等の再開発や事業者等の自主的な調査により土壌や地下水の汚染が判明する事例が増加したことや、土壌汚染に関する国民の不安の高まり、それらを受けてルール化を求める声に応えて制定され、平成15年2月に施行されました。本法が施行されてから2年間の状況をみると、有害物質使用特定施設の廃止に伴う土壌汚染状況調査が221件、このうち基準に適合しなかった54件が指定区域に指定されているなど着実に成果が上がっているところです。

  当面の課題としては、本法制定の際に国会の附帯決議に挙げられている、リスクコミュニケーションの推進、土壌汚染による生活環境や生態系への影響、油類等の汚染実態の把握などがありますが、引き続き取り組みを進めて参る所存であります。まず、土壌汚染問題におけるリスクコミュニケーションのあり方や様々な事例について紹介する「土壌汚染とリスクコミュニケーション」セミナーを昨年度から実施しており、今年度は9月16日に北海道室蘭市で開催し、約200人の参加者を得ました。

  また、油汚染対策については、本年6月の中央環境審議会土壌農薬部会において、同部会の土壌汚染技術基準等専門委員会で基本的考え方、対策の目標の定め方、油汚染の程度の調査方法、対策方法等について検討して頂くこととされ、これを受け本年9月から専門委員会での御検討が開始されたところであります。環境省としては、今年度内に油汚染対策ガイドラインを策定したいと考えているところであり、今後も専門委員会での活発かつ集中的な御議論をお願いしたいと考えております。

  さらに本法では、汚染の除去等の措置を実施すべき土地所有者等が費用負担能力の低い場合における措置経費の一部助成等のための基金を造成することとしております。この基金は、土壌汚染対策法の体系に欠かせないものであり、極めて大きい意義を有するものであり、国の補助金と民間からの出えん金によって造成されることとなっております。センターの会員の皆様にも引き続き出えんの御協力をお願いする次第です。

  最後に土壌汚染対策法の円滑な実施により各地の市街地等における土壌汚染問題の解決が図られるよう環境省としても努力して参る所存でありますので、センター会員の皆様におかれましてもより一層の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。