〜 会 長 就 任 挨 拶 〜 |
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社団法人土壌環境センター 会長 野村 哲也 (清水建設株式会社 代表取締役社長) |
この度、土壌環境センターの会長に就任しました野村です。 さて、当センターは、今更ご紹介を差し上げるまでもなく、「土壌汚染」、「地下水汚染」を専門とする、全国で唯一の「公益法人」です。現在の会員数は188社ですが、設立された平成8年4月時点での会員数は62社でしたので、この9年間で、実に会員数が3倍に増加したことになります。これは、21世紀が「環境の世紀」と言われているなかで、土壌汚染、地下水汚染の問題に、長年にわたり取り組んできた当センターの活動が、評価された結果であると考えます。 また、会員数ばかりでなく、昨年行った当センターの調査結果によれば、会員企業の土壌浄化ビジネスの受注高は、平成14年度では553億円であったものが、「土壌汚染対策法」が施行された直後の、15年度には729億円と、約32%増加しております。 20世紀以前から、はからずも汚染されてしまった国土を浄化し、回復させ、次の世代に継承していくことは、大変意義ある仕事とはいえ、大きな目で捉えますと、環境ビジネスが持て囃されることは、広く社会にとって、決して喜ばしいことではございません。しかし、次の世代に安全な国土を伝えてゆくことは、今の時代を担う我々の、大変重大な責務であります。これらの取り組みを、しっかりと誠実に進めていくことが大切であると考えます。 一方、日本経済の足取りがしっかりとして来た中で、企業の設備投資も漸く本格的に始動を始め、都市の再開発や不動産の流動化など、未だ潜在化している土壌汚染問題がますます顕在化してくることが予測されます。こうした背景をもとに、会員一同、今まで以上に充分な準備を行い、また今までの活動内容を今一度振り返る必要があると考えます。 例えば、「調査や対策の技術は、十分なレベルに達しているか」、「人材は、市場の期待を満たす為に充分確保されているか」、また、「土地取引に関わる方々ばかりでなく、土壌汚染に関わる理解が、広く社会に浸透しているか」といった点でありますが、現状では、「まだ充分とは言えない」と、言わざるを得ないと思います。 特に、土壌汚染問題は、他の分野における環境問題とは少々異なり、「不動産という私有財産を扱うため、多くの関係者の利害が複雑にからみ」、また、「地下という、目にみえない部分を取り扱うことから、メカニズムが複雑で、因果関係が判明しにくいこと」等の特性がございます。環境問題の中でも大変間口の広い、奥行きの深い問題を含んでおります。しかも全国レベルで本格的、統一的に、土壌汚染問題に取り組んだのは、平成15年の「土壌汚染対策法」の施行以降であるため、浄化技術などのハード面でも、リスクコミュニケーションなどのソフト面でも、我が国は、まだまだ成熟段階に達していないのが現状であります。 これらの現状を踏まえれば、当センターが中心になって様々な主体が土壌汚染問題について理解を深め、相互に知恵を出し合い、協力していく体制を作るべきであると考えております。幸い、当センターには、建設、プラントメーカー、コンサルタント、化学分析など多くの業種の会社が入会されています。しかも、各会社各様に土壌汚染についての、豊富な知識と実績をお持ちです。 このような当センターの特色を生かしながら、私としては、当面、次の3点に重点を置いて、事業展開をしてゆきたいと考えております。 ○ 第1点は、土壌が汚染された現地の自然条件、社会条件に応じた最適な調査と対策が行え るよう、国内外の事例を調査研究し、さらに技術の向上を図ることであります。 ○ 第2点は、現在、当センターが実施している、土壌汚染に関する資格認定制度、すなわち、 「土壌環境監理士」などの3つの資格制度のPRに努め、この資格保有者が全国で活躍で きるようにすることであります。 ○ 第3点は、センターで蓄積された、技術や知識を、会員のみならず会員以外にも普及させ、 土壌汚染問題について関係者の理解をさらに深めることであります。 会員各位のお力を頂き、社会から必要とされる活動を進めて参りたいと思います。 皆様の一層のご協力をお願い致しまして、会長就任にあたってのご挨拶とさせて頂きます。 |