浄化終了判定検討部会活動紹介

部会長 山内 仁

1.背景と目的
  土壌汚染対策法(以降「土壌法」という)の施行後に予測される課題の一つは浄化終了判定であるとの認識にたち、平成15年度(土本正明 部会長)から活動を開始しました。当部会では、土壌法や解説書では終了判定方法の提示が十分で無い事項の抽出と方法の明確化を行い、終了判定の品質と効率の向上を図ること、及び土壌法が適用されない案件を対象とした望ましい終了判定のあり方を自主的に検討しています。

2.活動の経過と方針
  土壌法や解説書では提示が十分で無く、また、実務上でも明確化が求められる終了判定方法は、指定区域の指定解除のための地下水モニタリングの方法、原位置浄化掘削除去を行った場合の完了確認の方法であると考えられます。当部会ではこれらの3つのテーマ及び土壌法が適用されない案件の望ましい終了判定のあり方(広義の終了判定)について、4つのワーキンググループに分けて検討を行ってきました。各テーマはそれぞれが連携すべき内容であるためにグループ間のコミュニケーション維持に努めています。部会の活動成果がセンター会員企業の品質向上と差別化及びビジネスの効率化につながることと信じております。

3.各ワーキンググループの活動内容
  1)土壌法に基づいた指定区域の指定解除のための終了判定方法の明確化を目指すグループ
  ●モニタリングワーキンググループ
  平成15年度は土壌法では不明確な地下水観測井の配置や測定期間の設定について検討を行い、汚染土壌の「掘削除去」や「原位置浄化」を行った場合の観測井の配置と本数を示しました。平成16年度は最下流の選定や対象面積による本数の決め方、自然的原因やもらい汚染の評価手法及び措置実施前に地下水汚染が認められなかった場合のモニタリング計画(観測井の配置等)について検討を行っています。合理的かつ効果的なモニタリングの標準作りを目指しています。
   ●原位置浄化ワーキンググループ
  原位置浄化による浄化終了判定は直接摂取のリスクならびに地下水摂取のリスクが無くなった事を証明することであるとの判断にたち、平成15年度は直接摂取の可能性が高い表層土壌の分析と地下水への溶出源である土壌の分析を提案しました。平成16年度は浄化工法ごとの土壌サンプリング位置の考え方及び浄化対象物質以外の溶出促進や副生成物について検討を行っています。当ワーキンググループの成果が原位置浄化の信頼性向上と効率化につながれば良いと考えています。
  ●掘削除去ワーキンググループ
   平成15年度は埋め戻し土の管理基準および掘削除去措置時の掘削範囲の確認方法について検討を行い、「埋め戻し土の分析頻度・項目」及び「掘削除去の完了確認方法:側面確認を行わない場合と側面確認を行う場合の違いなど」についてまとめました。平成16年度は掘削除去措置の事例を挙げ、側面確認の必要性について整理を行っています。埋め戻し土の管理基準については標準化を目指し、また、側面確認については側面確認が必要な場合や側面確認を行わない場合のリスクについて啓発したいと考えています。

 2)土壌法が適用されない案件を対象とした望ましい終了判定のあり方の提言を目指すグループ
  ●広義の終了判定ワーキンググループ
   平成15年度は浄化終了に関する国内での課題を抽出するために土壌・地下水汚染問題に対し先進している自治体を中心に浄化終了事例についてのヒアリング調査を実施しました。平成16年度は産業界、環境省や学識経験者へのヒアリングを行い、望ましい浄化終了判定について提言を行いたいと考えています。
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