自治体における土壌汚染対策法の施行状況セミナー報告

  12月21日(火)13:00より、北とぴあ(東京都北区)のつつじホールで「自治体における土壌汚染対策法の施行状況セミナー−土壌汚染対策法施行後2年経過・・・行政は、いま・・・−」が開催されました。本セミナーは副題にも示されているように、土壌汚染対策法(以後、土壌法という)の施行2年を目前としている現在、各都道府県の現況について、実際の担当者から土壌法の施行状況と課題について語っていただく、という趣旨で開催されたものです。
  話題提供は、経済産業活動が活発な首都圏にあって、それぞれ特徴ある条例および指針・指導要綱を制定して土壌汚染の対応・指導に当られている、東京都、埼玉県、千葉県の3都県の担当部局、そして全国の土壌法施行状況と諸課題をまとめる役割として当センターの、合わせて4つの機関によって行われました。
  参加者は会員外の一般参加者を含めて250名を越え、土壌法の施行状況への関
 
全国
東京都
埼玉県
千葉県
有害物質使用特定施設が
廃止された件数
840
62
28
10


調査結果の報告件数
122
24
6
1
調査実施中の件数
42
9
2
調査猶予された件数
583
23
6
猶予確認の手続中件数
79
1
指定区域として指定した
件数
31
9
2
1
 *千葉県はH16.10.31現在。政令市を除いた集計

心の大きさと、内包される課題の大きさがうかがわれます。
  当日報告された、平成16年8月15日現在の施行状況を、右の一覧表にまとめます。

講 演 者
表 題 と 講 演 内 容 の 要 約
島田 光正
東京都環境局環境改善部
副参事
<東京都の土壌汚染処理状況>
 東京都“環境確保条例”の概要と条例の施行状況の詳細、並びに東京都における土壌法の施行状況について説明があり、また土壌法と条例の相違点についても解説がありました。条例に基づく提出書類は、平成13年度から15年度の3年間で総計3,000件近い状況が報告されました。これらを踏まえて、今後の主要な課題として(1)安全かつ低コストの処理技術の開発と促進 (2)土壌汚染処理に関する情報を正確に伝える の2点を挙げ、これに対する東京都の事業計画について具体的な紹介がありました。この中で新規事業として「簡易迅速な調査方法の開発・利用」や「技術情報や処理コスト等のデータベース化」の内容が紹介されました。
土屋 雅子
埼玉県環境防災部水環境課
主幹
<埼玉県における土壌環境の保全>
 「埼玉県環境保全条例」の施行状況として、条例の概要と調査報告件数・汚染状況について紹介があり、次いで、政令市を含めた埼玉県の土壌法施行状況について説明がありました。また、今後の課題については“個人的な見解”とされながらも、(1)零細事業者への対応 (2)自然由来の判断 (3)情報提供の方法と範囲の3点を挙げたうえで、低コスト汚染処理技術の必要性、既存データの集約の必要性、実際の汚染情報をどのように公にしていくか他について課題が紹介されました。このほか中小企業者に対する支援制度として、「彩の国環境創造資金」が紹介されました。
薦岡 浩一
千葉県環境生活部水質保全課
副主幹
<千葉県における土壌・地下水汚染対策>
 千葉県が早くから取り組んでいる「千葉県地下水汚染防止対策指導要綱」によるVOCの地下水汚染に対する指導の紹介に始まり、政令市を除いた土壌法の施行状況が説明されました。また“汚染状況調査における諸問題”として、これまでに対応した事例の中から(1)土壌ガス調査で検出された場合のボーリング調査方法 (2)廃棄物の埋立跡地や古い排水浸透施設 (3)思いがけない原因での汚染事例 等や、さらに“汚染除去等の措置に関する諸問題”が紹介されました。
佐藤 雄也
社団法人土壌環境センター
専務理事
<土壌汚染対策法施行状況と諸課題>
 環境省調査資料(平成16年8月15日現在)による全国の土壌法施行状況、当センターが会員企業を対象として実施した「土壌汚染状況調査・対策工事に関する実態調査」集計結果の一部が報告され、次いでこれらに基づいて、企業が土壌汚染問題に直面する契機および土壌汚染による企業のリスクとその対応や早期発見・早期対策の効用等について説明が行われました。