広報分科会よりのメッセージ



  南極のオゾンホールは年々拡大を続けており、毎年9月から10月にかけて最大になるという。今年、南極上空のオゾンホールの面積は約2,588万km2と2000年に次いで過去2番目の大きさとなった。破壊されたオゾン量で見ると過去最大という。オゾンホールの消滅に要する時間は例年になく長期化すると見られ、生態系への影響が懸念されている。
  オゾン層は地上10〜50kmの成層圏に広がっており、大気圧に直すと厚さは約3mm。人体や生物に有害な紫外線(UV-B)を吸収する働きを持ち、私たちを保護している。このオゾン層を破壊しているのが、フロンやハロンなどの化学物質。中でもフロンは今世紀最大の発明と言われ、1960年以降、大量生産・大量消費されてきた。
  フロンが地上で放出された後、拡散してオゾン層に達するのに要する期間は15〜20年。即ち、今、オゾン層を破壊しているのは15年前に放出されたものである。そのフロンの量は生産量のわずか10%にすぎない。一方、現在地上にあるフロンの量は全体の10%であり、残りの80%はすでに放出してしまったことになる。
  国際機関の報告によれば、オゾンの量が1%減少すると、UV-Bが1〜2%増加し、皮膚ガンの発症は2%、白内障の発症は0.6〜0.8%増加すると言われている。放出されたフロンは今後時間をかけてオゾン層を破壊していくことになり、人体への影響はこれからが本番と言える。
  オゾン層の保護については、国際的にも国内においても様々な取り組みが行われているが、順調に進んだとして初期の1980年代のレベルまで回復するのは、早くても21世紀半ばと言われている。オゾン層の保護対策には、これ以上フロンを大気中に放出しないこと、そして使用済フロンの回収・分解を進めることが大切である。これは、土壌汚染問題についても言え、いずれも過去の遺産。土壌汚染対策法が施行された今、浄化・措置を進めるとともに、これ以上汚染・拡散させないようにし、未来への遺産としないよう努力していきたい。

(広報・教育委員会 広報分科会)