第6回国際土壌・地下水環境ワークショップ (IWGER2003)開催報告 |
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1月22日に東京国際フォーラム(ホールC)において、第6回国際土壌・地下水環境ワークショップが開催された。今年度のテーマは、2月15日に施行となる「土壌汚染対策法」に焦点がおかれ、「土壌汚染対策法の施行を迎えて−新法制定を活かすために−」と題し、テーマの中心である環境省およびカナダ・オランダから来賓講師と、国内で条例が進んでいる神奈川県、土地動向をにらみ日本政策投資銀行から講師を招待し、6講演ならびにパネルディスカッションが行われた(内容は下表参照)。 |
総合司会 藤岡庄衛氏 |
はじめに総合司会の藤岡氏による開会宣言の後、当センター岡安会長から「土壌汚染対策法の円滑な実施と共に、対策ルールが明確化されることで、新法の対象とならない自主的取り組みがさらに促進されることが重要である」との主催者挨拶があった。 引き続き、環境省吉田水環境部長から「これまで各国の取り組みや対策技術あるいは対策費用などの経済的な側面について講演やパネルディスカッションを通じて真剣な討議がなされてきた。新法施行に向けて昨年の11月に施行令、12月に施行規則が制定されたところで、現在 、最終的な施行の準備作業を進めているところである。本日ご出席頂い |
た皆様方を含めて関係者の方々との協力のもとで、汚染対策法が円滑に実施できるよう努力していくのでご協力をお願いしたい。本ワークショップを通じて情報交換と交流が深まり、また土壌汚染対策法の円滑な施行と土壌・地下水環境保全の取り組みが一層推進されることを期待する」との来賓挨拶があった。 最後に当センター佐藤専務理事より「土壌汚染対策法をめぐる多くの話を非常に効率的に聞くことができて大変感謝している。来年もこのような機会を持ちたいと思うのでご協力をお願いする」との閉会挨拶を最後にワークショップは閉会した。 今回のテーマは関心の高さが伺われ、産官学から668名の参加があった。 |
発 表 者 名
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表 題
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要 約
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由田 秀人 環境省 水環境部 土壌環境課長 |
土壌汚染対策法の制定 | 新法に至るまでの経緯及び新法の骨格の解説。汚染責任者や指定区域及び指定解除また留意点等について解説。負担能力の少ないものへの支援体制やリスクコミュニケーションの舵取り、自治体における地歴情報の整備をすることで土壌汚染対策法を動かしていく。 |
荒木 真一 環境省 水環境部 土壌環境課 課長補佐 |
土壌汚染対策法の政省令等 | 土壌汚染対策法の政省令の基本的な考え方と内容の概説。指定調査機関や調査方法、台帳や基金等について解説。重要なことは、土地所有者がリスクを捕らえ管理すること。また、リスクコミュニケーションを円滑にすることが大切であり、指定支援法人や自治体がこの役割を担う。 |
Michel Beaulieu カナダ ケベック州環境省 専門科学顧問 |
ケベック州政府における汚染用地の復旧に関するプログラム及び立法 | 1993年以降に汚染用地の復旧促進を目的としてケベック州が作成した政策や法規等の経緯及び概説。経済的助成措置を確立することで二次効果を生み、多くの復旧プロジェクトの再活性化の実現が可能になると思われる。 |
Ruud
Cino オランダ 住宅・国土計画・環境省 土壌浄化局局長 |
オランダにおける土壌汚染(土壌と公的及び民間機関の政策に焦点を当てる) | オランダでは過去20年間に渡る取組の中で、政府機関による浄化から民間主体での浄化へと大きな政策転換があった。市場の原動力と潜在性のある用地開発がこれを支えており、官民の協力が不可欠である。 |
岸川 敏朗 神奈川県 環境農政部 大気水質課 |
神奈川県条例に基づく 土壌汚染対策 | 神奈川県では平成9年より生活環境条例に規定を設け対処している。今後は「環境立県かながわ」の基本目標の下、土壌汚染対策法に基づく規制、指導と併せて条例による独自の取組を積極的に推進したい。 |
竹ヶ原 啓介 日本政策投資銀行 社会環境グループ 調査部調査役 |
土壌汚染対策法による ビジネスへの影響 | 我が国初の本格的な法規制の出現は関連ビジネスに様々な影響を与えていく。そこではリスク管理の拡大と進展を背景に不動産、金融分野での取組の進展と土壌汚染対策ビジネスの高度化が期待される。 |
パネルディスカッション コーディネータ: 竹ヶ原 啓介 パネリスト: (社)土壌環境センター 佐藤専務理事と上記 各講演者 |
都市再生計画 (都市再生の観点から捉えた土壌汚染問題への対処) |
海外における先進事例にも共通するように、今後の土壌汚染対策においては経済合理性の導入が課題となる。都市の再生という観点がその為の政策の一つの切り口と想定されるが、これを進めていく上ではリスクコミュニケーションをどのように進めるかが重要である。 |
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