ご紹介いただきました環境省の水環境部長の石原でございます。総会開催に当たりまして一言ご挨拶申し上げます。
初めに土壌環境センターの会員の皆様方におかれましては、日頃から土壌・地下水環境行政に対し格段のご理解ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
また、国際土壌・地下水環境ワークショップや、土壌・地下水汚染に関する各種技術講習会の開催にご尽力されるなど、日頃のセンターの活動に対しまして深く敬意を表する次第であります。
さて、本年1月6日に省庁再編により環境省が発足し、従来、環境庁水質保全局で担当しておりました土壌・地下水環境行政は、新たに設けられました水環境部へと引き継がれました。
水環境部といたしましても、新生「環境省」の下、水・土壌環境行政の推進に一層真摯に取り組んでいくべき課題は様々でございますが、その中で、20世紀における環境面の「負の遺産」といえる土壌・地下水汚染の問題は、ストック汚染問題として、重要な課題と位置づけております。
土壌・地下水環境の保全のための施策につきましては、これまで、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準として土壌環境基準、地下水環境基準を設定するとともに、これらの基準の維持達成にむけて、調査・対策手法や技術を体系的に取りまとめた「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針」を策定し、これに基づき事業者等の自主的な取り組みを推進してまいりました。
また、土壌環境基準に関しましては、昨年12月の中央環境審議会答申を受けまして、本年3月に対象項目としてふっ素及びほう素を追加したところであります。
一方、近年市街地等におきまして、企業の工場跡地等の再開発や事業者等による自主的な調査により、土壌・地下水汚染が判明する事例が増加し、この問題に対する社会的な関心が高まってきております。これに併せて、土壌・地下水汚染の適切な評価手法の在り方や処理費用負担の明確化等、対策を適切に推進するための制度の構築を求める声が一段と強くなってきております。
このような状況を受けまして、環境省におきましては、土壌環境保全対策のために必要な制度の在り方について幅広く調査・検討いただくため、昨年12月から、法律、対策技術等の専門家、地方自治体の担当者等から成ります「土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会」を開催し、これまで5回にわたりまして、我が国における土壌汚染の現状、地方自治体での取り組み状況、諸外国の制度についての検討、関係者からのヒアリング等を実施してまいりました。
この土壌環境保全対策に関する制度の在り方の検討に当たりましては、対象とする汚染、暴露経路ごとの規制基準、汚染地の把握、改善措置、情報の管理、汚染地の監視等をどう考えるのかといった様々な課題がございます。環境省と致しましては、今後、これらの検討課題につきまして順次議論を進め、土壌環境保全対策のための制度の在り方について明らかにしていきたいと考えており、検討会においてできるだけ早くこの検討結果を取りまとめ、今後の土壌・地下水汚染対策に反映してまいる考えであります。
環境省におきましては、このような制度の在り方の検討をはじめとする各般の施策を推進することにより、土壌・地下水環境の保全に努めてまいりたいと考えておりますので、土壌環境センターの会員の皆様方におかれましても、より一層のご理解、ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
以上で、簡単ではございますが、挨拶に代えさせていただきます。
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