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ダイオキシン類対策特別措置法の施行

                               環境庁水質保全局土壌農薬課

 平成11年7月16日に公布されたダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号。以下「法」という)は、平成12年1月15日に施行された、これに先立ち、土壌環境基準の告示、対策地域の指定要件等を含む関係政令・府令が平成11年12月27日に公布された。
 法に基づくダイオキシン類に係る土壌の環境基準は、平成11年12月の中央環境審議会の答申を踏まえ、1,000pg-TEQ/g(=1.0ng-TEQ/g)以下と定められた。この環境基準は、一般環境から適切に区別されている施設に係る土壌を除き、基本的にすべての土壌に適用される。
 また、環境基準と併せ、周辺の発生源の立地状況やダイオキシン類の状況等について必要な調査を開始する基準として、調査指標250pg-TEQ/g(=0.25ng-TEQ/g)が定められた。これは、ダイオキシン類に汚染された土壌が他の媒体への二次的な汚染源となる可能性があることや土壌中のダイオキシン類の挙動について明らかでない点があることを踏まえ、汚染の進行防止、他媒体への影響把握及び知見の集積のために設定されたものである。
 法では、都道府県知事は、環境基準を満たさない地域であって、汚染の除去等をする必要があるものとして政令で定める要件に該当するものを対策地域として指定することができることとされている。この要件は、ダイオキシン類対策特別措置法施行令第5条で、「人が立ち入ることができる地域(工場又は事業場の敷地の区域のうち、当該工場又は事業場に係る事業に従事する者以外の者が立ち入ることができないものを除く)」と定められた。
 これは、環境基準を超える土壌を直接摂取することによる一般国民の健康への影響を防止する観点から定められたものであり、原則として一般国民が立ち入る可能性のある地域のすべてを対策地域として指定できることとされたものである。
 また、工場又は事業場の敷地については、事業者が自らの責任により汚染の除去等の対策を図るべきものであることから、基本的には指定要件から除外しているものであるが、商店や公共施設など一般国民の利用を前提としている場合や、敷地内に一般国民に開放されている運動場等が設置されている場合などは、指定要件に該当することとなる。
 なお、対策の実施に必要な費用については、事業者によるダイオキシン類の排出とダイオキシン類による土壌の汚染の因果関係が明確な場合は、公害防止事業費事業者負担法(昭和45年法律第133号)の規定が適用され、国又は地方公共団体が実施した対策事業に係る費用の全部又は一部を汚染の原因者である事業者に負担させることができる。
 さらに、法では、都道府県知事が土壌の汚染の状況を常時監視しなければならないこととされており、地域における土壌中のダイオキシン類濃度の状況を把握するとともに、対策の実施が必要な地域を早期に発見するため、必要な調査が実施されることになっている。土壌の調査については、平成10年1月のダイオキシン類に係る土壌調査暫定マニュアルを改定し、新たに都道府県等に通知している。

[参考資料]
(1)ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年7月16日法律第105号)
(2)ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成11年12月27日政令第433号)
(3)ダイオキシン類対策特別措置法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成11年12月27日政令第434号)
(4)ダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成11年12月27日総理府令第67号)
(5)ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境基準について(平成11年12月27日環境庁告示第68号)
(6)ダイオキシン類対策特別措置法の施行について(平成12年1月12日付け環境庁企画調整局長・大気保全局長・水質保全局長通知)
(7)ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル(平成12年1月14日付け環境庁水質保全局土壌農薬課長通知)